• 小
  • 中
  • 大
  • テキストサイズ

③呪術廻戦〜脹相と恋人と絡み〜

第16章 帰宅



夜の空気は冷たかったが、不思議と寒さは感じなかった。

早く顔が見たい。
声が聞きたい。
できることなら、今すぐ抱きしめたい。

一か月ほど離れていただけなのに、こんなにも会いたくなるとは。

「……まったく」

……本当に、俺は。

彼女に依存しているのかもしれない。

そんなことを考えながら、ようやく家の前にたどり着いた。

鍵を取り出し、静かに扉を開ける。

「……ただいま」

返事はない。

こんな時間なのだから当然だ。

靴を脱ぎ、なるべく音を立てないように家の中へ入る。

リビングは暗かった。

テーブルの上には読みかけの本が置かれ、キッチンにはきれいに洗われた食器が並んでいる。

見慣れた光景だった。

けれど、そこに彼女がいないことだけが、どうしても不自然に感じられた。

俺は小さく息を吐き、彼女の部屋へ向かった。

そっと扉を開ける。

整えられたベッドには、誰もいなかった。

「……いないのか」

ふと、自分の部屋が頭に浮かんだ。

まさか、と思いながら扉を開ける。

「…………」

一瞬、状況が理解できなかった。

薄暗い部屋。
俺のベッド。
俺の枕。

そして、その上で小さく丸まって眠っている彼女。

「…………?」

思わず声が漏れた。

彼女は起きない。

規則正しい寝息を立てながら、いつも俺が使っている枕に頬を寄せていた。

その片手には、俺の上着が握られている。
/ 95ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp