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③呪術廻戦〜脹相と恋人と絡み〜

第16章 帰宅


「ま、僕としても、君が大人しくしてくれるなら、そのほうが都合がいいし?」

「……努力する」

「うんうん。じゃあ、家に帰っていいよ。ただし、しばらくは慎重に。余計な情報を上に渡す必要はないからね」

「……わかった」

胸の奥に、じんわりと温かいものが広がった。

ようやく、あの家に帰れる。

彼女の待つ家に。

そう思っただけで、張り詰めていた気持ちが少しずつ緩んでいく。

「……お前が、色々と動いてくれたのか?」

五条は一度瞬きをして、それからふっと笑った。

「僕も多少はね。でも、あの子が今まで周りと築いてきた関係も大きいと思うよ」

「……あいつが?」

「そう。あの子を大切に思ってる人は、僕が思ってる以上に多いんだよ。本人は全然、自覚してなさそうだけど」

俺は黙って話を聞いていた。

彼女が人に好かれることは知っている。

誰かが困っていれば自然と手を差し伸べ、相手の立場によって態度を変えることもない。自分のしたことを誇るでもなく、ただ、自分にできることを当たり前のように続けている。

だからこそ、彼女がどれだけ多くのものを積み重ねてきたのか、俺は時折、本人以上に不思議に思うことがあった。

「……そうか」

彼女は、きちんと認められている。

彼女が誰かに向けてきた優しさも、過ごしてきた時間も、何も無駄ではなかったのだ。

そう思うと、胸の奥が誇らしさで満たされた。
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