第16章 帰宅
「……家に戻っていいよ」
五条は、まるで明日の天気でも伝えるような気軽さでそう言った。
俺は一瞬、その意味を理解できず、五条の顔を見つめた。
「……戻っていい、というのは」
「そのまんまの意味。今のところ、脹相を処分する理由はないって学長も判断してるからね」
「……学長が?」
「うん。君が悠仁を弟だと思って協力してることも、今のところ人間に害をなしていないことも、一応考慮されてる。もちろん、引き続き監視は必要だ。」
五条は頬杖をつき、いつもの調子で続けた。
「二人の関係を認めたわけじゃないよ。そこは勘違いしないでね。呪いと人間が恋愛関係になるなんて言語道断、だってさ」
「……そうか」
「でも、あの子が前より笑うようになったことは、学長もちゃんと見てたよ」
思わず、顔を上げた。
「……あいつが?」
「そう。だからって、それだけで何もかも認められるわけじゃないけどね。今は無理に君を処分するより、協力関係を維持するほうが合理的。そういう判断になったわけ」
五条はそこで、にやりと笑った。