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③呪術廻戦〜脹相と恋人と絡み〜

第15章 牽制


「ああ、それから。…あの子の入れてくれる茶は美味い」

「……はい?」

「また一緒に琴をやろうと思っておる。次に来たときにでも、そう伝えておいてくれ」

五条はしばらく老人の顔を見つめ、それから吹き出した。

「はははっ! 学長、結局あの子のこと気に入ってるんじゃん!」

「何を言っておる。話をすり替えるな」

「いやあ、お茶に琴って。ずいぶん楽しみにしてるんだねえ?」

「……分かったらさっさと帰れ」

「はいはい。ちゃんと伝えておくよ」

五条は笑いながら学長室をあとにした。

廊下を歩きながら、彼は小さく息を吐く。

ひとまず、脹相が処分されることはない。

虎杖との関係を理由に協力を続けさせ、動向を監視する。楽巌寺の判断は、あくまで呪術界にとっての合理性に基づいたものだ。

それでも、彼女が以前より笑うようになったことを、あの老人はちゃんと見ていた。

恋愛を認めるつもりはなくても、その笑顔を失わせたいわけではないのだろう。

「……ほんと、素直じゃないんだから」

五条は苦笑した。

虎杖の処刑にしたって、決定されたからといって、その結末まで決まったわけじゃない。

抜け道はいくらでも考えられる。

脹相のことも、彼女のことも。まだ、どうにでもできる余地はある。

今はただ、余計な火種を増やさず、状況を維持しておけばいい。

「ま、何とかなるでしょ」

五条はいつもの笑みを浮かべた。

――彼女が、これからも笑っていられるように。
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