第15章 牽制
「……それで、あの子のことは?」
五条が話を戻すと、楽巌寺は不機嫌そうに眉を寄せた。
「呪いと人間の交際など、認められるはずがなかろう」
「はいはい。そこは譲らないんだねえ」
「当然だ」
楽巌寺は淡々と続けた。
「だが、…あの子は以前よりもよく笑うようになった」
五条は、わずかに目を見開いた。
「……へえ?」
「表情も柔らかくなった。話しておるときも、以前より楽しそうだ」
「学長、意外とよく見てるんだね」
「そう見えただけだ」
その言葉に、五条は小さく笑った。
なるほど。
この老人は、彼女の恋愛を肯定するつもりはない。それでも、彼女が笑えるようになったことまで否定するつもりはないのだ。
「……まあ、現状、脹相を処分する必要はないってことだね?」
「そうだ。虎杖との関係を通じて協力させ、引き続き動向を監視する。それが現時点での判断だ」
「了解。じゃあ、僕も余計な心配をしなくて済みそうだ」
「勘違いするな。あの二人の関係を認めたわけではない」
「わかってるって」
五条は楽しそうに笑った。
「でも、助かるよ、学長」
「礼を言われるようなことはしておらん」
「はいはい」
五条が立ち上がろうとしたとき、楽巌寺がふと思い出したように口を開いた。