第14章 離れて暮らすのも
高専でのサポートを終えて帰る頃には、外はすっかり雨模様になっていた。
傘を差していても、吹き込む雨が頬に当たる。雨は思っていたより冷たくて、私は思わず肩をすくめた。
「……寒っ」
「大丈夫か?」
隣を歩いていた恵が、私の声に気づいて足を止めた。
「うん、ちょっと肌寒いだけ」
「これ、着るか?」
恵が自分の上着を脱ごうとする。
「えっ、いいよ! 恵が寒くなっちゃうでしょ?」
「俺は平気だ。風邪でも引かれたら困るし」
「ありがとう。でも、本当に大丈夫だよ」
二人でそんなやり取りをしていると、後ろからひょいっと顔を出した五条さんが、楽しそうに声を上げた。
「あれ、寒いの? じゃあ僕の貸してあげるよ!」
「ダメだよ、風邪引かれたら仕事回ってくるの私だもん!」
「えー、そこぉ?」
五条さんがケタケタと笑いながら、悪びれもなく言っている。
それに恵が呆れたようにため息をついた。
「だから俺のを貸そうとしてるんだろ」
「まあまあ。ちょっと待ってよ」
そう言うと、五条さんはどこからか一着の上着を取り出した。
「これならどう?」
「ええ〜!あの五条さんが準備がいいなんて…」
差し出された上着を見て、私は首を傾げる。
……なんだろう。
初めて見るはずなのに、どこか見覚えがあるような気がした。
「これ、五条さんの?」
「いいから、いいから。一回着てみ?」