第13章 密会〜五条家
そして、不意に首筋へそっと口づける。
「……んっ、脹相!」
「……すまない」
そう言いながら、声は少しも反省していない。
「今の、絶対わざとでしょ!」
「……ああ」
「もう、ほんとに……!」
振り返ると、脹相は珍しく、いたずらが成功した子どものような顔をしていた。
「……お前が近くにいると、触れたくなる」
「さっきいっぱい触れたでしょ?」
「足りない」
即答だった。
私は思わず顔を覆った。
「……脹相って、こんなに甘えん坊だったっけ?」
「……お前の前だけだ」
その一言に、何も言い返せなくなってしまった。
私が彼の腕に自分の手を重ねると、脹相は安心したように抱きしめ直した。
脹相が私の肩に触れる。
シャツの上から、見えない印を見つめニコニコしていたことは、私は気付かないふりをした。
それからは、料理を進めるのも一苦労だった。
野菜を切っていると後ろから抱きしめられるし、味見をしようとすると頬にキスをされる。
「脹相、味見できないよ!」
「……では、もう少し待つ」
「待つって言いながら、離れてくれないじゃん!」
「……そうだな」
彼は小さく笑って、私の頬にもう一度キスをした。
結局、私は彼の腕の中で何度も笑いながら、いつもよりずっと時間をかけて夕食を作った。
五条さんが戻ってくるまでの2時間、私たちはゆっくりとソファに座るような時間はなかった。