第13章 密会〜五条家
「……もう少しだけ、ここにいてくれ」
「うん。ちゃんと一緒にいるよ」
その返事を聞いて、脹相はもう一度、彼女を腕の中に抱き寄せた。
「……もう一回、してもいいか」
部屋の中で、脹相が小さく尋ねた。
「ふふ、さっきから何回もしてるよ?」
「……駄目か」
「駄目なわけないじゃん」
私が笑うと、脹相は安心したように目を細めた。
そっと頬に手が添えられる。
ゆっくりと顔が近づき、唇が重なった。
最初は触れるだけの、優しいキス。
離れると、脹相は私の顔をじっと見つめた。
「……何?」
「いや……こうしていると、本当に会えたのだと思える」
その言葉に胸がきゅっとなった。
「私、ちゃんとここにいるよ?」
「ああ。分かっている」
そう言って、もう一度キスをする。
今度は、先ほどよりも長く。
私が彼の服をつまむと、脹相の腕がそっと背中に回った。
何度か唇を重ねるうちに、自然と身体が近づいていく。
気づけば、私はふわりと後ろに倒れ込んでいた。
「……っ、脹相?」
床に手をついた脹相が、私のすぐ上からこちらを見つめている。
近い距離。
少し乱れた黒髪の隙間から、まっすぐな瞳が覗いていた。
その視線に、思わず頬が熱くなる。
けれど、脹相はすぐには何もしてこなかった。