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③呪術廻戦〜脹相と恋人と絡み〜

第12章 密会〜余裕がない


「脹相?」

彼女の声だ。
脹相が振り返る。
扉が開き、彼女が顔を覗かせた。

「お待たせ!」

いつもの笑顔。
その顔を見た瞬間、張り詰めていたものが、ぷつりと切れた。

「……っ」
脹相は彼女に歩み寄り、その手を取った。

「え、脹相?」

驚く彼女を引き寄せ、腕の中に抱きしめる。
いつもより強い抱擁に、彼女は目を丸くした。

「どうしたの? 会いたかった?」

いつもなら、そう聞けば「……ああ」と返してくれる。

けれど、今日は違った。
脹相は私の顔を見つめたまま、何も言わない。

ただ、手を握る指先に力がこもっていた。

「……脹相?」

私が呼びかけた瞬間、彼の顔が近づいた。

いつもは頬に添えられるはずの手が、顎を包み、少しも顔を逸らすことのできないように固定されたまま、唇が重なる。

突然のことに驚いたけれど、彼の表情があまりにも切実で、私は目を閉じた。


一度離れた唇が、もう一度触れる。

気づけばトンっと背中が壁に触れていた。

「ん…」

「あ…」

深く、長く、熱く。舌が絡み合い、
有無を言わさない視線が私を捕らえた。

私は彼を見上げ、そのまま彼の服をきゅっと掴んだ。

「脹…っ」

いつもの温かみのある視線とは違う。

私を俺のものだとでも訴えてくるような目に、私は心臓が耳元にあるようにバクバクしている。

彼の気持ちに応えるように、もう一度キスを返す。

「んっ」

その瞬間だった。

「……っ!」

脹相が、はっとしたように身体を離した。

私の顔を見つめ、何かに気づいたように目を見開く。

「……すまない」

声が、ひどく苦しそうだった。

「え……?」
「すまない。俺は……」

脹相は私から目を逸らし、片手で顔を覆った。

「……お前に、こんなことをするつもりではなかった」

私はしばらく彼を見つめてから、そっと尋ねた。

「……どうかしたの?」

脹相はすぐには答えなかった。

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