第13章 尋問には黙秘を
「なァ、今回ばかりはやべェんじゃねぇの」
「・・お前には関係無い」
「塚内さんならまだしも」
ホークスと一晩過ごしたのはどう考えても想定外だろ、その名前にぴくりと顳顬が反応するのを山田がやれやれと見遣る
彼女を無事にタクシーに乗せ駅へと歩く道、夕方よりもずっと冷たい空気が酔いを醒ましていく
「土下座謝罪してメンバー入りすりゃいいのに」
「ほっとけ」
「まぁ、オレの理想の押し付けなんだけどよ」
小さく呟いた横顔、サングラスに町のネオンが映る
何でお前がそんな顔してんだよ、口に出さないその言葉が聞こえたかのように山田が言葉を続けた
「・・お前の面倒見れんのはやっぱ」
めぐしか居ねぇって思っちまうのよ、古臭い固定観念だよな、わり、へらへらと大袈裟な手振りの裏側でコイツが彼女に幾度となく寄り添ってきた事は知っているつもりだ
「・・面倒見てんのは俺だろうが」
「いーや?広く見るとそうでもねェよ」
分かってるクセに、言わせてェの?、揶揄うように細められた目が探るように俺を見る
「このまま取られちまうぜ、たぶん」
「・・そうだな」
「指咥えて見てるだけかよ、女々しくなったもんだ」
今度は挑発、どうにかして俺の口を割りたいらしいが応じるつもりは無い、深く吐いた溜息がうっすらと白く濁って、気の早過ぎる電飾に溢れた街が酷く目障りに感じる
「・・オレさ、ちょっと気になる話があんのよ」
まぁただの噂かもしんねェけど、宙を見つめ考えるように黙った山田が数秒口を尖らせて、ぐいっとサングラスをずらした
「なーんかマスコミに張られてるっつう話」
「あ?」
「ホークスだよ」
中にはタチ悪い奴も居るから心配なんだよなァ、あいつの周りは話題に事欠かねェからよ、珍しく沈んだ声が街の喧騒に溶ける
「・・めぐは大事な奴だからさ」
お前が掻っ攫ってくれりゃ安心なワケ、落とされた視線とへらりと下がった眉
お前よりしっくりくるヤツなんて居ねェだろ、悔しさを滲ませたその声色が無理やり俺の背中を押すように、いつまでも耳から離れなかった