第13章 尋問には黙秘を
———もう・・っ、顔も、見たくないって、
「分かった分かった、泣くな」
「相、澤くんのこと・・っ、私、まだ・・、っ」
「・・そうだよな、ごめんな」
アイツの代わりに謝るよ、本当にごめんな、呼吸ができなくなるくらいに取り乱した私の隣に山田くんが腰掛ける
控えめに肩を抱いた彼が視線を地面に落として静かに呟いた
「・・朧の事があってアイツ今、」
「う、うん、分かっ、てる」
白雲くんと相澤くんが姿を見せなくなった屋上、この場所に居続けるのは私よりずっとずっと辛いはずなのに、山田くんの温かい手は私の背中を優しく摩っている
「・・私、側で支える事も、出来ないんだ、ね」
「めぐのせいじゃねェよ」
アイツが不器用なんだ、オレの事も遠ざけてるしよ、うっすらと浮かんだ涙が綺麗なグリーンをゆらゆらと揺らして、それを見ていられない私は山田くんに思い切り抱き付いた
「はは、あったけェ、オレも泣きそ」
誰にも関わらず一人になりてェんだって、意味分かんねえよな、腹が立つぜ、山田くんの口から止めどなく溢れ出る悪態、厳しい言葉とは裏腹に優しい声色が彼らしくて、私は泣きながら小さく笑った
「山田くん、・・ありがとう、ごめんね」
「めぐは悪くねェよ、いつか気付くだろ」
透き通った青い空に白い雲が浮かんで、この背景が世界一似合う彼はもう居ない
明るい声を響かせながら軽々と扉を開け放つその姿が思い出されて、私たちは重く閉め切ったままのそれを願うようにじっと見つめた
「・・待つとかくだらない事言うな、って」
「最ッ低だなアイツ!」
「何年経とうが、お前と戻ったりしないって」
「・・マジで一発殴ってきてやろうか」
自分だけが辛いみたいなツラしてよ、我慢ならないとばかりに立ち上がった山田くんの腕を縋るように引っ張る
思い切り怒りを滲ませた横顔に一筋涙が伝って、私は嗚咽を堪えながら彼の腕に顔を埋めた
「・・きっと、私を振り回したくないんだね」
「んにしても、言い方っつうモンがあるけどな」
拒否されてもずっと側に居てやろうぜ、な、唇を噛み締める私を励ますように優しい手がぽんぽんと頭に触れる
手にしたハンカチで彼の頬を拭うと、自分の涙に初めて気付いたような顔の山田くんが泣きながら明るく笑った