第10章 夜の終わりは朝の始まり
「妹さんと偶然出会ったのも、もしかして縁があるのかなって」
プレゼントの趣味が普通な所も似てるみたいだし、寝息を立てるその無垢な顔を睨むと彼が小さく身じろぎをした
「真っ直ぐな目がとても素敵で、穏やかで、」
会えると嬉しくて、淡い気持ちのひとつひとつがパズルを嵌めていくように形を作っていく
紅茶を淹れながら、その香りを楽しみながら、彼のことを思い出す時間が私はとても心地よかった
暖かい陽だまりのように微笑む表情も、慎重に言葉を選んで相手を気遣うところも
「ああ私はこの人が好きなんだ、って」
そう思ってたのにね、消えそうに小さな呟きが柔らかい明かりに溶けていく
衝動的に伸ばした指先が、誘われるまま金色の髪に触れた
「ちゃんとそう思ってたのに、何でかな」
揃い始めたパズルが核心へと近づいていく、思い描いていた形をしていないそれが私を酷く戸惑わせて、落ち着かなくさせて、どうしようもなく欲しくなる
「・・頭の中がね、ホークスの事でいっぱいなの」
どうしよう、今までみたいに出来ないの、
せっかく掴みかけた淡い恋を一瞬で吹き飛ばしてしまうくらい、今は貴方の事しか考えられない
隣に居てほしくて、触れてほしくて、抑えられない気持ちに涙が出そうなほど、貴方を想うと胸が痛い
「でも、まだ、気持ちの変化に追いつけなくて」
———貴女の口から聞きたいから、
———真の個性には頼りません、
「塚内さんが、ああ言ってくれたのに」
自分の事なのに私って本当だめだね、相澤くんに相談しようかな、そんな風にわざと軽い口調にしてみても、胸の高鳴りが貴方に聞こえてしまいそうで、それが怖くて私は小さく息をついた
「昨日まで、そんな事なかったんだよ」
だから今日、ここに来なければよかったってちょっと思ってるんだ、甘くて苦い気持ちが言葉となって輪郭を得ていく
少しだけ潤んだ視界がカーペットとソファの色をひとつにして
「・・おやすみ、ホークス」
ちゃんと整理できたら、きっと伝えさせてね、
止まらない愛しさのままその頬に触れる、火傷しそうなほど熱くなった指先を唇に当てると甘い入浴剤の香りが鼻を掠めた