第6章 その扉は開けないで
「全く、また鍵が開きっぱなしだったぞ、」
それに徹夜はやめろとあれほど、眉根を寄せリビングに入ってきた彼の姿に私は大きく目を見開く
見慣れた帽子を片手に、コートを脱いだ塚内さんが視線を上げて私を捉えた
「薬師さん・・どうして此処に」
「えっ、あ、お兄さんって」
真さん、塚内さんの妹さんなんですか・・!?、
あまりの驚きに真さんを見つめると、同じように塚内さんも真さんを見つめている
「えっ、兄さん、めぐさんと知り合いなの!?」
私たち以上に驚いている真さんの姿に私は思わず吹き出して、真さんが焦ったように私に耳打ちをした
「口煩いって言ったこと、秘密ね!」
「っふふ!」
「おい、聞こえてるぞ真」
緩めかけていたネクタイを締め直した塚内さんは私に向き直ると、深々と頭を下げた
「妹がご迷惑をおかけしました」
「いえ、そんな、!」
雄英保健医の薬師さんに付き添っていただけて、こんな安心はありません、申し訳無さそうに眉を下げた塚内さんの横で真さんが大きな声を出した
「雄英!?めぐさん雄英の保健医なの!?」
「失礼は無いだろうな」
「塚内さん、本当にいいお兄さんですね」
意外な一面が見られて得した気分です、本心からそう言うと彼が恥ずかしそうに床に視線を落とした
「お兄さんも帰宅されたので、私はそろそろ失礼しますね」
「夜道は危ない、車で送ります」
「いえ、まことさんに付き添っていて下さい」
早く寝るよう監視をお願いします、塚内警部、微笑んでそう言うと彼が困ったように笑った
「・・へえ〜〜〜」
「な、なんだ」
「ううん、なんでも?」
意味深に塚内さんを見上げた真さんの瞳が爛々と輝いている、これ良かったら、そう言って差し出された小さな紙袋にはいつか塚内さんから頂いた入浴剤が入っていた
「たまに兄さんが貰ってくるの、こんなものしか無くてごめんなさい」
今日は本当に助かりました、それにめぐさんと知り合えて嬉しかった、言いながら差し出された右手、さっぱりとした彼女らしい挨拶だと笑みが溢れる
その手に触れようとした瞬間、塚内さんが焦ったように私たちの間に入った