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▶︎抽出時間はそれぞれ◀︎【ヒロアカ】

第2章 流し込んで消して



ここ数日ですっかり冷たくなった夜風、賑やかな通りを歩きながら歩幅を合わせる
電車の時刻を調べるのだろう、鞄からスマホを取り出した彼女が手元の画面を確認した


「よければ、家まで送らせて下さい」

「いえ、!まだそんなに遅くないですから」

これ以上お手間をおかけするわけにはいきません、茶化すように目を細めた彼女が風に靡く髪を優しく押さえる


「・・まだ話していたい、そう言った方がいいでしょうか」

思いのほか堅くなってしまった声色、ちらりと彼女の方を見遣ると、流れた髪の隙間から赤い耳が覗いた


「か、揶揄わないでください・・」

どの口がそれを、思わず溢れた笑いに彼女がうっすらと眉を顰める
そんな顔もするのか、込み上げる想いが言葉となって滑り出た


「おかしいな、お酒は飲んでいないはずですが」

「・・塚内さん、そんな意地悪も言うんですね」


「意地悪か、生まれて初めて言われましたよ」

肩の力が抜け笑いを溢すと、彼女が困ったように顔を顰めて
ああ帰したくない、俺は少しずつ歩くスピードを落としていく


駅と駐車場の分かれ道、自然と歩みをリードして路地の方へと足を向けた瞬間、背後から聞き慣れた声が響いた



「いやぁビックリ!こんな所で会うなんて!」

珍しい組合せっすねぇ、その髪色と同じように明るい声が静かな路地に響いて
言葉を失う俺の横で、目を見開いた彼女が驚きに声を上げた


「え、すごい、偶然!?」

「グーゼングーゼン!驚きましたよ」

退屈なしがらみパーティーの帰りなんす、へらりと挙げられたその手で車のキーが音を立てる


「塚内さん、今朝ぶりですね」

「・・ええ、おつかれさまです」


「めぐさん、もう帰るところでしょう?」

驚きの余韻が残る彼女が小さく頷くと深まったその笑み、まるで決まっていたかのように彼女の荷物を優しく取り上げる


「明日も早いですもんね、俺が送ります」


「え、大丈夫、まだそんなに遅くな・・」

「言ったでしょ、退屈なパーティーの帰りなんです」

今日はひとつも良いことがなくて、態とらしく口を歪めたホークスが覗き込むように彼女に目線を合わせる


「でもめぐさんと帰れるんで、全部チャラです」

むしろお釣りが来るくらい、場違いな明るい声と小さく響いた彼女の笑い声が、俺の胸を酷く騒つかせた
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