【SPY×FAMILY】オペレーション・ヴェール【R指定】
第5章 OPERATION⑤
ロイドは大きく息を吐いて、セリーナに顔を近付けた。
「…あの男の部屋に上がり込んで、何をするつもりだった?」
セリーナはロイドの碧眼を見ながら、二択を迫られていた。
ローレンの書類が必要だったと本当のことを話すか、浮気を楽しもうとしていた尻軽な女という汚名を被るか。
特に後者はセリーナのプライドの高さを考えれば、受け入れ難い汚名だろう。
ロイドは彼女の本当の目的を知らないまま、最も屈辱的だと思われる選択をセリーナに迫っていた。
だけどロイドは知らない。
祖国を守るために、セリーナがどんな汚名さえ被ってきたかを。
実際に汚れ仕事にまで手を染めてきた彼女にとって、今さら守るべき自尊心など、祖国への愛に比べれば取るに足らないのだ。
セリーナは自分の顔を包むロイドの手に両手を重ねた。
そして琥珀色の瞳を揺らし、本当に申し訳なさそうな表情を浮かべた。
「…ごめんなさいロイド…。本当に軽い気持ちだったの…」
セリーナはそう言って、大きな瞳を涙で潤ませた。
ロイドは鳩尾を蹴られたかのような重い痛みを感じた。
たとえ嘘でも、そんな言葉は聞きたくなかった。