【SPY×FAMILY】オペレーション・ヴェール【R指定】
第5章 OPERATION⑤
ロイドはローレンをホテルの従業員に任せると、ゆっくりとセリーナを振り返った。
セリーナは浅く息を吐いて、ロイドを見上げた。
「…なんでここにいるの?」
簡単な言葉だったが、それがロイドを追い詰める言葉だとセリーナは分かっている。
「…君が男とホテルに入って行ったのを見たんだ」
そう淡々と言ったロイドの表情を見て、セリーナは眉を顰めて失笑した。
ーーーそう…、この広いバーリントでたまたま?
そんな言葉を投げかけたかったが、口にしたところで無意味なやり取りが続くだけだと分かっていた。
どうせ、ロイドは本当のことを言わない。
「…じゃあ…誤解は解けたのかしら?」
セリーナはロイドに一歩近付いて、彼の顔を見上げた。
まるで自分は潔白だと言わんばかりの表情に、ロイドは冷ややかに言った。
「…いいや…、頭がおかしくなりそうだったよ」
「……どういうこと?」
他人から見れば、セリーナはただ上司に仕事の相談をしていただけだろう。
だけど、ロイドはセリーナが『わざと上司を酔わせて、部屋に入ろうとしていた』と確信していた。