【SPY×FAMILY】オペレーション・ヴェール【R指定】
第5章 OPERATION⑤
セリーナが上司の体調や体質を知らなかったなんて考えられない。
ロイドはこの状況をセリーナがあえて作ったのだと気が付いた。
(やっぱり、セリーナはなにかを隠している)
ロイドの無言の視線に、セリーナも彼が何を考えているか察したようだ。
タイミングよくこの場に現れたロイドに対して、セリーナもまた彼の行動には裏があると確信していた。
(だけど今はまだ…)
(相手を問い詰める時期じゃないわね…)
ロイドはこのタイミングで現れるべきではなかった。
そのままセリーナを監視していれば、彼女がなにを企んでいたか知り得たものを、ロイドはそのチャンスを自ら壊した。
ロイドは自分の失態に腹が立った。
だから今、セリーナを問い詰めることはできない。
言い逃れのできない証拠を掴むまで。
ロイドらしくない行動は、奇しくもセリーナの判断を鈍らせた。
明らかに中途半端な介入は、ロイドにとってなんの利益もないからだ。
裏稼業の者なら絶対にしない行動が、セリーナの思考を混乱させる。
二人は視線を交わしたまま、互いをどう暴くかを考えていた。