【WINDBREAKER】風鈴高校の紅一点🎐𓂃𓈒𓂂
第2章 獅子頭連編
会場内に響き渡る、梅宮の地を這うような怒号。その凄まじい気迫をかき消すように、兎耳山は食い込ませる歯の力をさらにぐっと強めた。
(痛い。怖い。逃げ出したい。)
頭の中でその言葉が何度も繰り返し再生される。そして、その恐怖に引っ張られるようにして脳裏に浮かんだのは、決して思い出してはいけない「あの時」の記憶と冷たい「死」の二文字だった。
彼「……ッ…と…兎耳……山…さん……」
それでも、ここで逃げてはいけない。自分だって風鈴の一員としてここに立っている。だからこそ、怯えて目を背けたりはしない。目の前の現実と向き合わなくはいけない。
「大丈夫ですよ…もう……」
兎耳山「な、何がだよ…」
彼方「怖がらなくても…大丈夫ですから……」
兎耳山「ちゃんまで……なんだよ…意味わかんねぇよッッッッ!!!!」
どうしていいのか自分でもわからない。心の中にある振り払えない焦燥感や苛立ちを、周りに牙を剥くことでしか自分の輪郭を保てない兎耳山。その姿があまりにも不器用で、あまりにも孤独で。の中には、恐怖以上に深い憐れみと温かな痛みが広がっていった。
は、肩に噛みつきながら身を震わせる兎耳山の背中へとそっと手を回し、まるで怯える子供を包み込むように優しく抱きしめた。
兎耳山「……俺の何がわかるんだよ。」
「全部はわからないけど……兎耳山さんがすごく辛そうにしてるのは……伝わってきます…」
兎耳山「…………ッッッ!!!! うるさいんだよッッッッ!!!梅ちゃんもっっ!!!!! お前もッッ!!!!」
「…………ッッ」
これ以上言葉を紡がせないようにと、兎耳山は震える手での口元を乱暴に塞いだ。聞きたくない。認めたくない。これ以上、自分の本心を暴かないでくれ。そんな風に、すべてを拒絶して叫んでいるようにも見える必死な姿が、見ていられないほど痛々しかった。