【WINDBREAKER】風鈴高校の紅一点🎐𓂃𓈒𓂂
第2章 獅子頭連編
兎耳山「…………」
十亀「…………」
二人とも、同じ表情。完全なる無。
声を出すことすら忘れたように、ただ梅宮を見つめている。二人の頭の中では、梅宮の言葉をどう処理するべきなのか、必死に考えているのだろう。
けれど。
そんな二人の葛藤などお構いなしに、梅宮の言葉はその後も止まらなかった。自分が何を考えているのか。どうしてそう思ったのか。これからどうするのか。思いついたことを、ひとつずつ。まるで難しいことなんて何もないと言うように、つらつらと語っていく。
そして最終的には…
「解散!解散!」
そう言って、タイマン勝負を勝手に終わらせてしまった。
あまりにも梅宮らしい、呆れるほど真っ直ぐで。驚くほど自由で。けれど、不思議と嫌な感じがしない。むしろ、張り詰めていた空気が、彼の一言一言によって少しずつほどけていくようだった。
そんな梅宮を見つめていた兎耳山が「ぷっ」堪えきれず、小さく吹き出した。そして、それをきっかけに、とうとう笑い声を上げ始める。
兎耳山「やっぱり梅ちゃんはおもしろいね!」
その言葉に、梅宮は満足そうに笑った。さっきまで殴り合っていた相手とは思えない。まるで、昔からの友達と話しているような自然さだった。
梅宮「なぁ、この辺で食い物持ち帰れる店ないか?」
十亀「え…な、なんで?」
梅宮「なんでって」
梅宮は、きょとんとした顔で首を傾げる。その顔には、どうしてそんなことを聞くのか分からない、とでも言いたげな純粋な疑問が浮かんでいた。そして次の瞬間、まるでそれが当然の結論であるかのように、声を大きく張り上げた。
梅宮「打ち上げだ!打ち上げ!!!」
その言葉を聞いた瞬間、は思った。
この人には敵わない。誰かをねじ伏せることで勝つのではなく。誰かと誰かの間にあった壁を、いつの間にか全部壊してしまう。その破天荒さに呆れながらも、気づけば誰もが、その人の隣に立っている。梅宮という人は、そういう人なのだ。そして、そんな彼だからこそ、兎耳山も笑ったのだろう。さっきまでの険悪な空気など まるで最初から存在しなかったみたいに。
はそんな二人を眺めながら、ふっと小さく息を吐いた。