• 小
  • 中
  • 大
  • テキストサイズ

【WINDBREAKER】風鈴高校の紅一点🎐𓂃𓈒𓂂

第2章 獅子頭連編


「遥君…ふらふらだよ……」
桜「…こんくらい、かすり傷だ。」

そう言い張るものの、一歩踏み出す毎に右足をわずかに庇うその歩き方は、ハラハラするほど痛々しかった。先程、ステージから飛び降りた際、わずかに歯を食いしばるような苦しげな息が漏れていた気がする。


桜「早く来いよ。」
「うん。今降りるね。」
桜「ばか。お前は降りたら危ねぇだろ。降ろしてやるから、手を伸ばせ。」
「………うん」

言われるがまま、彼の手を掴もうと両手を伸ばした。しかし、の想像していた「手を引いて下ろしてもらう」という展開は、良い意味で大きく裏切られた。
両手を掴まれるどころか、桜の大きな両手がの脇の下へとスッと差し入れられ、子供を扱うようにふわりと身体を持ち上げられたかと思うと、そのままステージの下へと降ろされてしまったのだ。

「ありがと……」
桜「…お前軽すぎんだろ。ちゃんと飯食ってんのか。」
「…う、うん。」

(――待って。今のなに!?)

桜にとっては、相手を安全に降ろしただけの 何気ない行動だったのだろう。けれど、高校生にもなって男子に、しかも「脇を抱えられて降ろされる」なんて姿を、大勢の前でされてしまうなんて。恥ずかしさで身の置き所がない。
頭上から足の先まで一気に血液が逆流したように熱くなり、の顔は耳上まで赤く染まっていた。

桜「なに突っ立ってんだ。行くぞ。」
「……うん」

恥ずかしくて下を向いたまま歩いていたその時、不意に目の前の「何か」にぶつかってしまった。
鼻先をかすめたのは、清潔感のある爽やかな香りと、ほんのり香る上品な紅茶の匂い。驚いてバランスを崩しそうになったは、咄嗟に目の前にあった白い布地にぎゅっとしがみついた。

「本当に君はほっとけないよ。」

柔らかくどこか愛おしげに耳元で囁くような声。驚いてゆっくりと顔を上げると、黒の眼帯、耳元で揺れるタッセルピアス、透き通るような白い肌に長く美しい睫毛。眉目秀麗という言葉が似合う、端正で整いすぎた顔立ちの青年が立っていた。
乱れた彼女の髪を優しく撫で抱きとめてくれた彼は、と目が合った瞬間、優しくて温かな微笑みを浮かべた。

蘇枋「おかえり。ちゃん」
/ 103ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp