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【WINDBREAKER】風鈴高校の紅一点🎐𓂃𓈒𓂂

第2章 獅子頭連編


その言葉を言われたのはいつぶりだろう。
学校から帰宅しても待っている人のいない冷えた家。
今日あった出来事や、心に引っかかった些細なことを、誰かに話す相手なんていなかった。そんな孤独な日常なんて、とっくの昔に慣れていたはずなのに。

「おかえり」

蘇枋が向けた、あまりにも何気ないその一言。まるで、凍りついた心の真ん中に "ぽっ" と小さな灯りがともったかのように、じわじわと心の底があたたかくなっていくのを感じた。

蘇枋「どうかした?」
「いいえ……なんでもないです。」
蘇枋「………」

彼女のこの表情は、一体何を考えているのだろう。
ゆったりとしたどこまでも優しい穏やかな笑み。だけど、その眼差しはどこかあどけなくて、見ているだけで胸が締め付けられるほど甘く、蕩けそうなほど心に染み入る笑顔だった。

(可愛い)

そんな言葉が、危うく口から零れ落ちてしまいそうになる。それほどまでに、自分に向けられた彼女の笑みは愛おしいものだった。

蘇枋「嫌だったら ごめんね…」

自分の中に溢れかそうになる感情を堪えようとしたのに、どうやら身体は、自分の頭で考えるよりもずっと正直らしい。

「蘇枋君…?」

名前を呼ぼうとしたの腕を優しく引き寄せ、自身の広い胸へとそっと抱きしめた。

蘇枋「頑張ったね。偉いよ。」

言いたかったのは こんな言葉じゃない。ただ、自分に向けられたあどけない笑顔。その笑顔の持つ本当の意味なんてわからない。
それでも、この瞬間だけは、彼女の温もりを独り占めして、ただ彼女の世界の一部になりたい。そんなわがままな願いが、蘇枋の胸を満たしていった。
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