【WINDBREAKER】風鈴高校の紅一点🎐𓂃𓈒𓂂
第1章 出会い
風鈴高校へと向かう桜並木の続く坂道。
は隣を歩く蘇枋の顔を幾度となく横目で盗み見ていた。整った横顔、涼しげな目元、そして否応なしに視線を惹きつける 右目の黒い眼帯。
蘇枋「ずいぶん俺のこと、見るんだね」
視線の意図を完璧に捉えられ 蘇枋が面白そうにこちらを振り返った。
「眼帯が…どうしても気になってしまって」
蘇枋「ああ、これ?なんで着けてると思う?」
試すような、いたずらっ子のような微笑み。は少し考えてから 突飛な予想を口にしてみた。
「うーん、左右で目の色が違うとか?」
蘇枋「それだったら逆に眼帯なんて着けないかな。」
「じゃあ、なんだろう」
蘇枋「正解、知りたい?」
蘇枋は立ち止まりゆっくりとの顔を覗き込んだ。彼の声が 少しだけトーンを落として耳に届く。
「知りたいです!」
息を呑んで答えを待つ。蘇枋は人差し指を眼帯に添え 芝居がかった仕草で囁いた。
蘇枋「古代中国の悪霊を封印してるんだ。」
「え……」
蘇枋「あはははは!」
沈黙の後、彼は噴き出すように笑った。
真っ赤な嘘だろう。けれど、彼の纏うチャイナ風の装飾やミステリアスな雰囲気が その言葉に妙な説得力を与えた。そのせいか、気の利いたリアクションが取れなかった。ボケてくれた彼に申し訳なくなり、は眉間にシワを寄せたまま「うーん」と唸り声を上げた。
蘇枋「そんな顔、しないの。」
蘇枋が、の眉間のシワを指先で突いた。
蘇枋「可愛い顔が台無しだよ。」
至近距離で放たれた「可愛い」という言葉。けれど、先ほどの「悪霊」の嘘に翻弄されたせいか素直に喜ぶことができない。なんとも言えない微妙な表情のまま「……ありがとうございます」とだけ返事を返した。
これほど完璧な美形に褒められてこんなに可愛げのない反応をする女子も珍しいだろう。彼を退屈させていないか 少し不安になった。