【WINDBREAKER】風鈴高校の紅一点🎐𓂃𓈒𓂂
第2章 獅子頭連編
目の前で行われているあまりにも暴力的な光景に、喉の奥が詰まったように声が出ない。ただ呆然と、傷だらけになった桜の背中を見つめることしかできず、気がつけばの目からは、こぼれ落ちた涙がとめどなく頬を伝っていた。
桜が負けたと思ったわけじゃない。ただ、剥き出しの狂気と暴力がぶつかり合うこの闘いそのものが、心の底から怖かった。
十亀がここまで感情を昂らせ、荒々しくなっている理由も、見ているうちに痛いほど伝わってきた。だからこそ、この容赦のない暴力の連鎖が、たまらなく恐ろしかった。
楡井「さ、桜さん……そんな……っ」
蘇枋「いや……まだだ。見てて。」
蘇枋の落ち着いた声にハッとする。その言葉通り、桜はまだ諦めていなかった。
桜「だから…言ってる事とやってる事が違ぇだろ…。弱いものいじめクラブに改名しろよ。」
十亀「……もう、うるさい……喋るな。」
殺気を帯びた十亀が、再び桜の顔面を踏み潰そうと、下駄を履いた足を大きく振りかざす。来るべき重い衝撃に備え、は反射的に隣に座っていた楡井と蘇枋の袖をギュッと強く掴んだ。
――目を背めちゃダメだ。しっかり見届けなきゃ。
桜「……中坊追い回すようなヤツらに……負けられっかよっっっっ!!!!!」
振り下ろされた十亀の足は、桜の後頭部を捉えることなどなく、間一髪でその手前の床を激しくえぐり、地鳴りのような凄まじい轟音がグラウンドを揺らした。
十亀「……なにそれ……知らない。」
「えっ……?」
十亀「…そうか。だからちゃん、あそこにいたのかぁ……」
十亀の驚愕に満ちた呟きと会場を包み込む静寂の中、桜はゆっくりと十亀の同行を見守った。