【WINDBREAKER】風鈴高校の紅一点🎐𓂃𓈒𓂂
第2章 獅子頭連編
十亀「………………」
――何が起こるかなんて、わからないじゃないですか。
あの子の瞳。
あの瞬間、彼女の目は間違いなく、底知れない怒りを宿した目をしていた。佐狐と知り合いだから?いや、違う。あの真っ直ぐな怒気は、間違いなく俺達に向けられた非難の目だった。
あんなに小さくて、愛らしい女の子にあんな顔をされるなんて。俺はただ……丁子を…仲間を……ただそれだけを思って動いていたはずなのに。
に向けられた視線のせいなのか、十亀の胸の奥が妙にざわめいた。心地の悪い澱みが、心の底にじっとりと張り付いて離れない。
兎耳山「亀ちゃーん! 次でしょ! 次!」
十亀「……っと、ごめんごめん。ちょっとぼぉーっとしてたぁ。」
兎耳山「もぉ、しっかりしてよ!」
十亀「それじゃあ、やろうか。オセロ君。」
桜「……やっと順番が回ってきたかよ。」
十亀が不敵な笑みを浮かべて立ち上がった瞬間、会場の空気が一変した。
割れんばかりの獅子頭連メンバーからの大歓声と、桜に対する容赦ない野次が一斉に浴びせられる。
蘇枋「すごい声援だね。」
楡井「い、今までの比じゃないっす……!」
桜「相手はあのモジャモジャだからな。気合は十分だ。」
楡井「あっ、桜さんっっ!!」
桜「ああ?」
楡井「きっ、気をつけてくださいね…!」
蘇枋「死なないようにね。」
柊「……任せたぞ。」
杉下「………。」
梅宮「たくさん、話してこいよ。
」
仲間たちの背中を押すような言葉が次々と飛ぶ中、はいてもたってもいられず、一歩前に踏み出した。
「遥君っっ!」
桜「……あ?」
「いってらっしゃい!」
桜「…………お、おう!」
の声に、桜は珍しく気恥ずかしそうに目を泳がせ、短い返事を返した。
彼の背を見送りながら、は胸の奥がざわつくような違和感を覚えた。理由なんてわからない。でも、送り出してしまった以上、もう信じて見守るしかない。
桜「さっさと始めようじゃねーぜ。」
十亀「そんなに焦らなくても……早いってことは悪いことではないけどさぁ、場合によっては物足りなかったりするでしょ?」
桜「………」
十亀「特に今回は――“ゆっくり楽しみたい”んだよねぇ。」
十亀のねっとりと響く声が、冷たい風に乗ってグラウンドの熱をさらに引き締めていくのだった。