【WINDBREAKER】風鈴高校の紅一点🎐𓂃𓈒𓂂
第1章 出会い
桜 「なっ! なんだよ急に、でけぇ声出して!」
ことは「あんたの声も相当大きいわよ、桜」
ことはさんのツッコミも耳に入らない。私は青ざめた顔で自分のカバンを漁った。
「……忘れ物しちゃった」
桜「はぁ? 忘れ物だぁ?」
「スマホ忘れた。取りに行ってくる!」
桜「おい。一緒に行くか?」
ぶっきらぼうに、けれど心配そうに声をかけた桜に、は慌てて手を振る。
「家、すぐそこだから大丈夫! 遥君は冷めないうちに食べてて!」
ことは 「気をつけんだよー!」
ことはの声に背中で応え は店を飛び出した。
スマホを忘れるなんて 最悪のスタートだ。 あれがなければ 今の世の中何もできない。電子マネー派のは、現金もほとんど持ち歩いていないのだ。連絡も取れなければ 帰り道に買い物すらできない。全部、浮かれて確認を怠った自分が悪い。
「急がないと」
春の陽光を浴びながら、自分のうっかり具合にため息をついた。
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何事もなく自宅へ到着し机の上に置き去りにされていたスマートフォンをカバンに放り込む。
「…次からはちゃんと確認しよ。」
自分に言い聞かせるように呟いて家を出ると すぐそばにある店の鏡張りのドアに制服姿の自分が映った。風鈴高校の制服。改めて眺めてみると思っていたよりもずっと可愛らしい。男子が学ランだから 女子は古風なセーラー服か何かだと思い込んでいたけれど、実際は 黒地に襟元の緑のラインが映えるシックなブレザーだった。
風鈴は自由な校風らしく きっちり着こなす必要もないのかもしれない。けれど、元々のデザインがとても素敵で着崩してしまうのがもったいない気がした。
「…っあ、ごめんなさい!」
制服のことを考えながらぼんやりと歩いていたのがいけなかった。
前を歩いていた人影に気づくのが遅れ、その背中に思いきりぶつかってしまったのだ。完全に自分の前方不注意。鼻先を強く打ち鈍い痛みに思わず涙目になる。 内心で冷や汗をかきながら慌てて謝罪の言葉を紡ごうとした。
「全然大丈夫だよ。君の方こそ、怪我はない?」