【WINDBREAKER】風鈴高校の紅一点🎐𓂃𓈒𓂂
第2章 獅子頭連編
柊「ありがとな。佐狐のために泣いてくれて。」
「いえ……そんな、私なんて何も……。」
柊「お前には重てぇから、俺が下まで運ぶ。」
「すみません……勝手に大声出したりして。」
柊「……大丈夫だ、気にすんな」
柊の静かな声に頷き、佐狐を抱えてステージを降りる背中を、も震える足で追いかけた。地面にそっと横たえられた佐狐から、柊が離れようとしたその時。冷たい冷気を纏った足音が、静寂を引き裂いた。
十亀「別にさぁ……そんな丁寧に扱わなくてもいいのにぃ。」
「っ……」
柊「…………」
十亀「いやぁ、ありがとありがと。」
緩慢な足取りで近づいてきた十亀は、横たわる佐狐の体に無造作に手を伸ばす。そして、彼が誇らしげに着ていたはずのチームのスタジャンを乱暴に掴み、「はーい、お疲れさん」と有無を言わせず剥ぎ取ろうとした。
「……ちょっと、待ってください。」
十亀「……なぁに?」
柊「……椿っっ、お前っっ!」
反射的に、ジャケットを剥ぎ取ろうとした十亀の手首を、は渾身の力で思い切り掴みとった。突然の行動に、十亀の唇から笑みが消え、虫の居所が悪そうな冷たい目で、をギッと睨みつける。
「佐狐君の処遇は、このタイマン勝負がすべて終わってからでも遅くないはずです。この後、チームに何が起こるかなんて……まだ分からないじゃないですか…。」
十亀「それぇ、どういう意味ぃ?」
柊「おい!!椿やめろ!その手を離せっ!」
「…こんな無慈悲なことをして…チームが本当に強くなるとは思えないですッッッ!」
十亀「…………」
柊「……お前」
「今のはただの独り言なんで、気にしないでください…」
十亀「……ふっ、デカい独り言だねぇ。」
十亀が不敵に目を細めたその隙に、はそっと手を引いた。
柊「おい、椿行くぞ。お前の気持ちはよく分かった。…俺も、同じ気持ちだ。」
柊の背中を追いかける前に、は自分の肩にかけていたカーディガンを脱ぎ、静かに横たわる佐狐の体にそっとかけた。
どうか、彼が目を覚ました時。あの時伝えられなかった言葉や、あたたかな笑顔を、もう一度 柊さんと交わせますように。今はただ、その無事を祈ることしかできなかった。