【WINDBREAKER】風鈴高校の紅一点🎐𓂃𓈒𓂂
第2章 獅子頭連編
「おい……」
「嘘だろ……」
「……あの佐狐が、負けたのかよ」
「これが、“ボウフウリン四天王・柊登馬”の力……!」
静まり返っていた会場が、どっと波打つようにざわめき始める。
それが佐狐の敗北に対する動揺なのか、それとも底知れぬ柊の実力への畏怖なのかはわからない。けれど、観客席の誰もが息を呑み、凄まじい勝負の重みを受け止めていた。
佐狐は敗れたが、あの命を削るような激闘は、紛れもなく賞賛に値するものだったはずだ。
蘇枋「いやー、すごい喧嘩だったね。」
「うん…」
兎耳山「あーあ、佐狐っちゃん負けちゃった!」
それぞれが余韻に浸る中、会場の熱が冷め切らないうちに、十亀がひらりと振り返った。その冷ややかな視線が観客席の端へと向けられる。
十亀「誰でもいいからぁ……そいつ、ステージから降ろしてくれるぅ?」
放たれたその一言に、先程までざわめきに包まれていた会場が、一気に氷りついたように静まり返る。あれほど見事な戦いを見せた仲間に対して、あまりにも冷酷な言葉。
(嘘でしょ…。獅子頭連では、敗者はもう 仲間として扱われないというの?)
柊「いい……俺がお…」
「私が降ろします!!」
不意に口をついて出た叫びに、周囲がハッとしたように息を呑む。
桜「はっ!?お前、何言って!」
楡井「えっ!? 椿さん!本気ですかっ!?」
蘇枋「…ちゃん。」
周りの驚愕の視線など気にする余裕すらなく、は一気にステージへと駆け上がった。
血塗れになり、あちこちが痛々しく腫れ上がった佐狐の顔を見た瞬間、堰を切ったように、熱いものが視界を滲ませて溢れ出た。
あんなにも必死に足掻いて、ボロボロになりながら戦ったのに。勝負には負けたかもしれないけれど、彼は獅子頭連のために、自分の誇りのためにすべてを懸けて戦った。なのに、こんなぞんざいな扱いはあんまりだ。
考えれば考えるほど、胸が締め付けられて涙が止まらない。
早く彼を安全な場所へ移動させなければいけないのに、その痛々しい顔を見ているだけで、どうしようもないやるせなさがこみ上げてくる。
これが彼らの言う“力の絶対信仰”だなんて……そんなの、間違ってる。