【WINDBREAKER】風鈴高校の紅一点🎐𓂃𓈒𓂂
第2章 獅子頭連編
佐狐「負けるわけない…ッ……人の下についたあんたになんて…負けるわけないッッッ!!!!」
顔も体も傷だらけになりながら、佐狐はむき出しの感情で柊に向かっていく。柊の背後に鋭く回り込み、死角から顔面へと一撃を叩き込もうとしたその瞬間。
佐狐「…………がッ!」
柊の鋭い蹴りが、佐狐の顔面に完璧なタイミングでヒットする。
鼻からは鮮血が飛び散り、激しい衝撃で佐狐の目は腫れ上がり、もうまともに開かなくなってきていた。それでもなお、痛々しい姿のまま立ち上がり、歯を食いしばって柊に向かっていく佐狐。その姿があまりにも痛切で、の胸の奥が締め付けられ、熱いものがこみ上げて視界が歪んだ。
楡井「さん?」
「……お互いの気持ちが一方通行なままって 辛いから…。いつか、分かり合えたらいいですね…」
楡井「???」
「あ、すみませんッ!!なんでもないです…」
蘇枋「………」
遥「………」
ぽつりと零したの呟きに、楡井が首を傾げ、蘇枋と桜が静かに視線を向けた。
佐狐
の攻撃のスピードが、ガタリと落ちていく。もはやその体には余力など残っておらず、ただ執念と根性だけで、限界を超えた拳を奮い続けているようだった。
佐狐「だぁーーーーーッッッッ!!!!」
最後の力を振り絞るような渾身の右ストレート。柊の顔面スレスレを狙っていったその拳は…
柊「佐狐……」
佐狐の拳は、柊の顔面に届くことなく、その大きな手のひらの中に優しく、しっかりと包み込まれるように受け止められていた。
柊「……期待に応えてやれなくて、すまなかった。」
佐狐「………ッッッ」
激しい息を吐きながら、柊が佐狐にそっと囁く。
その言葉の意味を受け止める間もなく、柊は佐狐の腹部に、最後の手加減のない、けれどどこか温もりの残る強烈な一撃を叩き込んだ。
重い衝撃音とともに、佐狐の力が糸の切れた人形のようにプツリと途切れる。床に崩れ落ちた後、それでも縋るように柊の足元へと這い寄ろうとした佐狐君だったが、その途中でついに力尽き、冷たい地面にそのまま伏せて動かなくなってしまった。
「佐狐君ッッ……!」
静まり返ったグラウンドに、佐狐の名前を呼ぶの声だけが、切なく響き渡っていた。