【WINDBREAKER】風鈴高校の紅一点🎐𓂃𓈒𓂂
第2章 獅子頭連編
蘇枋「…こら。」
「…あ。」
蘇枋「だめだよ、ちゃん。」
すぐ目の前にあった整った顔立ちと、ふわりと香る気配にはっと我に返る。自分が今、どれほど恥ずかしい行動をとっていたのかを思い出し、顔中に一気に熱が集まった。心臓がうるさいほど激しく跳ねる。
赤面して固まるを他所に、蘇枋は困ったような、でもどこか面白がるような優しい笑みを浮かべてそっと身を引いた。恥ずかしさで消えてしまいたくなりながら、は慌てて視線を逸らした。
桜「ったく……どいつもこいつも、人の頭を勝手に撫でやがって……!」
気まずさを紛らわせるように、桜が頭を掻きむしりながら悪態をつく。
蘇枋「まあまあ、いいじゃないか〜!」
桜「お、俺は馬鹿にされた気がしてムカついただけで…ッ!」
蘇枋「うんうん! そうだね、そうだねー」
桜「ふざけんなッッ!
蘇枋の のらりくらりとしたかわし方に、桜がさらに顔を真っ赤にして憤慨する。その傍らで、杉下は無言のまま険しい目をステージへと向けたままだ。その時。
柊「いやー……いい蹴りくらったわぁ。」
乾いた静寂を破るように、低く掠れた声が響いた。
桜「…………っ!」
蘇枋「…………っ!」
楡井「……あっ!」
杉下「…………」
「…………柊さん……!」
皆が息を呑み、一斉に視線をステージへと向ける。
先ほどの強烈な一撃で倒れ込み、動かなくなっていたはずの柊が、ゆっくりと上半身を起こしていた。額にうっすらと汗をにじませながらも、その口元にはいつもの余裕を含んだ笑みが浮かんでいる。
柊「にしても、後輩の前でだいぶダセぇところ見せちまったなぁ。」
自嘲気味にそう呟きながら、柊は立ち上がり、目の前に立つ佐狐を見据えた。佐狐は動揺を隠すように、ぎっと鋭い視線を返す。
柊「おかげで一年には怒鳴られるし、なんかもう、たまったもんじゃねぇよ。だけど…」
傷だらけの体を軽く叩き、柊はふっと息を吐く。その瞳には、恐怖でも怒りでもなく、純粋な喧嘩の熱が静かに灯っていた。
柊「……楽しくなってきた。」
佐狐「…………っ!」
かつて同じ背中を追いかけ、今は敵として拳を交える二人。その圧倒的な熱量がグラウンドの空気を震わせ、の胸を再び激しく打つのだった。