【WINDBREAKER】風鈴高校の紅一点🎐𓂃𓈒𓂂
第2章 獅子頭連編
桜「なぁ。アイツってどんな奴なんだ。」
楡井「えっと…鹿沼さんは……」
遥「ちげぇよ。そっちじゃねぇ。」
楡井「え…蘇枋さんですか?中学の頃から、強いってすごく有名でしたよ。でも、有名ってだけで、誰に勝ったとか具体的な話は全然なく…」
桜「はぁ? なんだそりゃ。」
梅宮「俺も、蘇枋の事はあまり知らなかったけど。会って、よくわかった。あいつは、優しい奴だ。」
その言葉に、少し離れた場所で聞いていた桜が、面白くなさそうに鼻を鳴らす。
桜(“優しい”ねぇ…)
蘇枋は、たしかに優しい。気が付いたらそっと傍にいてくれて、が不安な時には必ず声をかけてくれる。いつも、は蘇枋に護られてばかりだ。なのにどうして、桜は腑に落ちない顔をしているのか。がそう思っていると試合が動き出した。
鹿沼「お前らのせいで有馬がっ!」
蘇枋「なんだ。仲間のために怒れるんだね。あの時とは、ずいぶん様子が違うじゃないか。」
鹿沼「僕は有馬とずっと一緒にやってきたんだ!兄弟がやられて、怒らないわけないだろ!」
蘇枋「あはは!自分が被害者になった時だけ大声で喚くなんて、まるで我慢を知らない子供のようだね」
その瞬間、蘇枋の口から零れ落ちた言葉に、皆は思わず息を呑んだ。
蘇枋「つらかったでちゅねぇ……ボクちゃん。」
桜(あれが本当に“優しい奴”のする顔か?)
背筋が寒くなるような見事な挑発に圧倒されていると、桜が怪訝そうにを覗き込んだ。
その直後だった。蘇枋に煽られ、怒りで理性を飛ばした鹿沼が、渾身の力を込めた拳を振り上げて激しく殴りかかった。
顔面に直撃する――!
恐怖で思わずぎゅっと目を閉じた、次の瞬間。鹿沼の拳を受け止めるわけでも、やり返すわけでもなく、蘇枋はまるで木の葉のように身をひらりと翻し、その巨躯を意図も簡単にかわしてしまった。
あまりにも一瞬の出来事で、何が起きたのか脳が追いつかない。余裕すら感じさせる足取りのまま、蘇枋は力の抜けた鹿沼を静かに見下ろす。
蘇枋「癇癪を起こして子供だからで済むのはさ、せいぜい小学生くらいまでだよ。」
鮮やかに相手の隙を突き、ゾッとするほど美しい笑みを浮かべて、蘇枋はトドメの一言を紡いだ。
蘇枋「さあ、僕と一緒に大人の階段 登ろうか。」