【WINDBREAKER】風鈴高校の紅一点🎐𓂃𓈒𓂂
第2章 獅子頭連編
勝負はまさに一瞬の出来事だった。
杉下の一撃によって、有馬は完全に意識を飛ばし床に倒れたままピクリとも動かなくなった。
桜「お前、なんで立ち上がってんだよ」
「なんか……つい……」
桜「腹立ったのか? アイツに。」
「そうかもしれない…」
楡井「あっ、椿さん!掌が傷だらけっす!」
「…ほんとだ。全然気が付かなかった。」
桜「何やってんだよ、全く。」
蘇枋「手、見せて……痛い?」
「大丈夫です…」
蘇枋「これ、使って。」
蘇枋が差し出したのは、淡い薄紫色の綺麗なハンカチだった。少しだけ出血していたの掌にそっと優しく当て、押さえるようにして持たせてくれる。
「…洗って、返します。」
蘇枋「いいよ、気にしないで。」
パチパチパチ――。
不意に、静まり返った会場から乾いた拍手の音が響いた。
兎耳山「すごーーい!!君!めちゃくちゃ頑丈なんだねぇ!」
なに。この人。仲間がやられてしまったというのに、心配するどころか対戦相手を面白そうに褒めちぎるなんて。
「やっぱり……おかしいよ、あんな…」
あの時もそうだった。
初めて十亀達に会った、あの日も。やられた仲間に対して、「弱いやつは獅子頭連にはいらない」と冷たく言い放った。
――《力の絶対信仰》
それが、こういうことなのか、には到底理解できなかった。
兎耳山「ねぇ亀ちゃん、もし亀ちゃんだったら、あの長髪くんどうやって倒す!?」
十亀「………」
兎耳山「あれ、亀ちゃん?」
十亀「……うん、そうだね。」
兎耳山「よーしっっ!! 次やろ、次!! ねぇ、そこの二人!!」
兎耳山「有馬、片づけて」
「え……」
兎耳山「ぐずぐずしないで、早くしてねーー!!!」
軽妙な兎耳山の声掛けに、獅子頭連のメンバーが慌てたように動き出す。しかし、彼らが取った行動は信じられないものだった。気絶した有馬を、そのまま壇上から引きずり下ろそうとした。
「あー、重っ。端まで運ぶの無理だろ」
「もー、ここから落としちゃえばいっか」
そう吐き捨てると、ステージの縁から意識のない有馬をそのまま下に突き落とした。たとえ勝負に負けたとしても、仲間ために戦ったの体を、乱暴に、まるでゴミのように扱った。