【WINDBREAKER】風鈴高校の紅一点🎐𓂃𓈒𓂂
第1章 出会い
「気持ちわりぃ」
男から吐き捨てられた言葉に 桜の口角がわずかに吊り上がった。
それと同時に爆発的な踏み込み。光の速さで 男たちの懐へ飛び込む。
次々と男達をなぎ倒していくその姿は、先程までの照れ屋な少年とは 似ても似つかない。血走った瞳、鬼のような形相。ただ目の前の敵を喰らうことだけに集中する野生の獣のような眼光。圧倒的な戦いぶりに魅了され、が思わず一歩前へ足を踏み出した、その時。
「おい!手ぇ止めな!」
いつの間に回り込んでいたのか別の男が彼方の背後から刃物を突き立てた。冷たい鋼の感触が首筋に触れる。
(……嫌だ)
忘れたくても忘れられない過去の記憶が呼び覚まされる。身体が小刻みに震え膝の力が抜けていく。立っていることさえままならない絶望。
「あはは! この女、怖くて震えてやがる! お前ら風鈴は、街の奴を人質に取られると動けねーんだよな!」
男の勝ち誇った哄笑。だが次の瞬間。桜の回し蹴りが男の顔面を真っ向から粉砕した。吹き飛ぶ身体。刃物が地面に転がった。
桜「礼なんか要らねぇ。」
呼吸を荒くしながら桜はを庇うように立ちはだかった。
桜「ナイフなんか持ち出しやがって。喧嘩の仕方には気ぃつけろ。人間が丸分かりだぜ。」
余裕ぶった台詞とは裏腹に桜の動きに精彩が欠けていく。
を守るという制約が彼の盾となってその身を削っていた。
(私のせいで…遥くんが…)
桜「…ッ!!」
地面に倒れ伏していた男が執念深く桜の足にナイフを突き立てた。
さらに起き上がった男達が殺意を剥き出しにして二人へと襲いかかる。
桜は痛みに顔を歪めながらも一歩も引かずに彼方の前に立った。
は縋るように 彼の黒い学生服の背中をギュッと掴み、衝撃を覚悟して 強く目を閉じた。
けれど、いつまで経っても来るはずの痛みは来なかった。
「一年か? いてくれて助かったぜ」
耳を打ったのは、低く、けれど頼もしい声。目を開けると、そこには桜と同じ風鈴高校の制服を着た男が立っていた。
「この街で、こんなもん振り回すことがどういうことか…分かってんだろうな、あぁッ!!?」
風鈴高校。それは、ただの不良の集まりではない。街を守る盾、そして誰よりも熱い絆を持つ者たちの集団。の手を引く桜の背中に、仲間たちの影が重なった。