【WINDBREAKER】風鈴高校の紅一点🎐𓂃𓈒𓂂
第1章 出会い
蘇枋「お部屋はここ?」
「はい…」
静まり返ったアパートの廊下。辿り着いた一番奥の扉の前で、蘇枋は申し訳なさそうな顔をして立っていた。
「そんな悲しい顔しないでください。もう本当に、大丈夫ですから。」
穏やかな笑顔がトレードマークの彼なのに、今はその綺麗な眉を困ったようにハの字に下げ、自分を責めるような目をしている。そんな姿を見ていると、こちらまで胸が締め付けられるようだった。
蘇枋「そんな訳にはいかないよ。君に怖い思いをさせたのは事実なんだからね。」
「蘇枋君が怖かったわけじゃないんです!。嫌とか、そんなんじゃなくて……私、蘇枋君のこと、優しくて大好きですよ?」
蘇枋「………」
「それに、お顔も綺麗だし…手もすごく綺麗で。あと肌も綺麗だし、目も…」
蘇枋「あの…その、もう十分かな?」
「え?」
蘇枋「これ以上は……ちょっと、ね」
勢いよく褒め立てるに気圧されたのか、蘇枋は片手で自分の口元を覆い、すっと視線を逸らした。夕闇に染まる廊下でもはっきりとわかるほど、彼の整った頬がみるみるうちに赤く染まっていく。
蘇枋「…すごく、恥ずかしいから。」
いつもは飄々としていて どんな時でも余裕を崩さない彼が。赤に染まった頬のまま、頑なに目を合わせようとしてくれない。そんな、普段からは想像もつかない姿がどうしようもなく愛おしくて、は彼の顔を覗き込んだ。
「蘇枋君?」
蘇枋「…………」
「あのー、蘇枋君?」
蘇枋「ごめん……。俺、いま、ちょっとそっち向けそうにないかな…」
困ったように掠れた声で呟く彼は、本気で気恥ずかしさを噛み締めているらしかった。なぜだか理由は分からないけれど、目の前で赤面し、タッセルピアスを揺らしながらタジタジになっている彼の姿を見ていると、胸の奥がキュッと甘く高鳴り、自分でも驚くほど心臓の鼓動が早くなった。