【WINDBREAKER】風鈴高校の紅一点🎐𓂃𓈒𓂂
第1章 出会い
嵐が過ぎ去ったあと、桜達は喫茶ポトスに集まっていた。
ことはが作ってくれたオムライスが湯気を立てている。ことはは心配そうに微笑みながら「少しはお腹に入れな?落ち着くから」と声をかけてくれたが、今のは緊張で水すら喉を通らなかった。
皆に迷惑をかけてしまっているという焦りが胸を締め付ける。スプーンをぎゅっと握りしめ、皆から離れたカウンターの隅で、は自分の不甲斐なさに悶々と沈み込んでいた。
蘇枋「センチメンタルになってる?」
ふと、顔を上げるといつの間にか隣に座っていた蘇枋が、顔をじっと覗き込んでいた。
「……少し」
蘇枋「責任なんて感じる事ないよ。あの条件を呑まなければ、勝負は実現しなかった。俺達が君に感謝することはあっても、申し訳ないなんて考える必要は、何一つないんだよ」
「……けど、皆さんに守られてばかりで、私何もできないんです」
溢れ出た弱音を、蘇枋は穏やかな瞳で受け止めてくれる。
蘇枋「君が俺達くらい喧嘩ができたら…俺はちょっと怖くなるし、それに喧嘩をするって事は、君が傷つく可能性だってあるって事だよ? そんなの、怖くて仕方ない。少なくとも俺はね」
まっすぐ向けられる真摯な視線に、息が止まりそうになる。
蘇枋「だから、君はそのままでいてよ。お願い。約束できるかな?」
「…わかりました」
緊張で強ばりこわばっていた私の左手に、蘇枋がそっと自分の手を添えてくれた。その温もりに触れた瞬間、胸の奥が熱を帯びる。この綺麗な手に、私はいつも救われている。そう思うと、彼の大きな手が急に愛おしくなり、私は添えられたその手にそっと自分の重ねた。
「この温かくて綺麗な蘇枋君の手に、私はいつも救われてます」
きゅっと握り返すと、不意を突かれたのか彼の指先がぴくりと小さく跳ねた。
「風鈴に、蘇枋君がいてよかった」
真っ直ぐな感謝を伝えると、蘇枋は繋いでいた手をそっと離し、代わりにの頬へと手を伸ばした。迷うように少しだけ空を泳いだその綺麗な手が、ゆっくりと頬に触れ、優しく撫でる。
「俺も…ちゃんが風鈴にいてよかったよ」
この数日間で一番の柔らかくて優しい微笑み。その表情につられて、張り詰めていた心もすっと解けていくのだった。