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【WINDBREAKER】風鈴高校の紅一点🎐𓂃𓈒𓂂

第1章 出会い


「あたしは好きだよ。その髪も瞳も」
桜の頭の中で、何かが音を立てて弾けた。『気持ち悪い』『変な奴』向けられる言葉はいつも彼を排除するための刃だった。それなのに、この目の前の女は『好き』だと言った。

桜(こいつ、頭イカれてんのか…)

桜「……なんだよ、その顔は」
「いま絶対『こいつ頭イカれてる』とか思ってたでしょ」
桜「はっ!?おまっ、 人の心読めんのか!?」

分かりやすすぎる桜の反応には「やっぱり」と唇を尖らせる。

「だって、本当の事だもん…あ、あれ? それ、風鈴の制服?」

桜の羽織っているジャケットに目を留め、は自身の足元にある紙袋を指差した。

桜「だったらなんだよ」
「私も明日から、風鈴の生徒だから」
桜「はぁ!?」
「そんなに驚く事?」
桜「お前みたいな女が、風鈴に行って何かあったらどうすんだよ!」

喧嘩と隣り合わせの 荒れ果てた学び舎。そんな場所に、見るからに華奢で、守られる側の存在に見える彼女が行くという。その危うさに、桜は苛立ちに似た焦りを覚えた。

「何かあったら…その時は、貴方が守ってくれるのかな?」

悪戯っぽく、けれど信頼を込めて微笑む彼女に桜は言葉を失った。

喧嘩ができるわけでもないのに男だらけの風鈴に飛び込もうとする。
それなのに こちらの心に土足で踏み込んでくる。

桜「俺は、てっぺん獲るために風鈴に来たんだ。お前なんか…」
「てっぺん獲るなら、女の子の一人くらい守れなきゃダメなんじゃない?」
桜「……なっ!」

言い返せずに絶句する彼にもう一度 柔らかく微笑んだ。

「さっきはありがとう。」

赤らんだ頬を隠すように、桜は乱暴に頭をかきむしる。

「そんなに照れなくても。遥君?」
桜「勝手に名前で呼んでんじゃね!」

夕闇が迫る商店街。走り去るように背を向けた少年の背中を見送りながらは自分の中に灯った小さな火を感じていた。

桜「…変な女。」

桜は毒づきながらも乱高下する鼓動を抑えられずにいた。なのに、全く嫌な気分じゃないのは どうしてだろう。『椿 彼方』不意に脳裏をよぎったその名前を彼は心の中で 誰にも聞こえないほど静かに繰り返した。
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