【WINDBREAKER】風鈴高校の紅一点🎐𓂃𓈒𓂂
第1章 出会い
「あーあ。何やってんだよ」
「あーだめだ。完全に伸びてる」
「蹴り一発で落ちるとかダサw」
――なんなの、この人達。
トンネルの向こうから現れた橙のスカジャンを纏う男達。倒れた仲間を助け起こすどころか冷ややかな視線で見下ろしていた。仲間が目の前で倒れているのに心配するどころか嘲笑う。あまりに不可解で、そして異常なその空気感に、の身体の震えは止まらなくなった。
「なに…この人達……」
蘇枋は、震えるの手をそっと握り直す。今の自分にできるのは、こうして体温を分け与えることそう言わんばかりの、彼なりの静かな優しさだった。
そして、トンネルの奥からは乾いた音が響いていた。カラン、コロンと、木材が硬い地面を叩くような音。その音は、ゆっくりと けれど確実にこちらへ近づいてきた。
「なになにぃ。どぉしたのぉ〜」
間延びした、異様に穏やかな声。音の主が姿を現した瞬間。隣にいた柊の身体が険しく強張った。
柊「獅子頭連副頭取…十亀 条」
下駄を鳴らして歩くその男は 倒れた仲間の周りを、獲物を観察する獣の様にゆっくりと円を描いて歩き回った。話し方こそ穏やかだが、放たれるオーラは圧倒的な威圧感に満ちている。
十亀「なんで、フウリンがこっちにいるのぉ〜?」
柊「そいつが、うちの奴を追い回してたんだ」
十亀「…あ、柊じゃーん。やっほぉ」
(びっくりするほど、テンポが遅い……)
あまりの落差に戸惑うを余所に、十亀は不敵な笑みを浮かべ 桜と杉下を指差した。
十亀「これぇ、そいつらがやったのぉ?」
その不気味な笑みを見た瞬間、背筋に冷たい氷を押し当てられたような悪寒が走った。笑っているのに、その瞳の奥には底知れない狂気が潜んでいる。
「亀ちゃん〜亀ちゃん!!遅いと思ったらこんな事になってたのぉ?」
十亀の背後から、弾けるような明るい声と共に、小柄な少年がひょっこりと顔を出した。他のメンバーとは明らかに違う、無邪気で親密な態度。
柊「…あいつまで」
楡井「誰すか。あいつ」
柊「獅子頭連 頭取…兎耳山 丁子」
風鈴高校の頂点が梅宮さんであるように、この少年こそが獅子頭連の頂点。兎耳山は周囲をキョロキョロと見渡していたが、やがて蘇枋の背後に隠れているを見つけると、ぱっと顔を輝かせた。