【WINDBREAKER】風鈴高校の紅一点🎐𓂃𓈒𓂂
第1章 出会い
楡井「桜さん!そこムラになってますよ!」
「綺麗に塗らなきゃだめだよ、遥君」
桜「……分かってるよ!うるせぇなッ!」
街の落書きを消すためのペンキ塗りが始まった。青空の下、商店街の一角に広がるのは、到底「不良高校の日常」とは思えないどこか長閑な光景だった。
蘇枋「ペンキの追加持ってきたよ~」
そこへ、蘇枋が鼻歌でも歌い出しそうな軽やかさで予備のペンキが入ったバケツを運んできた。
蘇枋「にれ君もちゃんも、ペンキ塗るの上手いねぇ。感心しちゃうよ」
桜は、心の中で悪態をついた。総代の挨拶が終わった直後、教室に乗り込んできた上級生によって 新入生たちは一斉に外へ連れ出された。校庭で待ち構えていたのは、風鈴高校四天王の一人『柊 登馬』
てっぺんを目指す者として、どんな峻烈な試練が待っているのかと身構えたのに、命じられたのは「街の見回り」……それも、清掃や修繕といった地道な奉仕活動だった。
「いやぁ~助かるよぉ。消しても消しても、すぐに落書きされちゃうからね」
商店街の店主らしき男性が、塗り直された壁を見て相好を崩して感謝を述べる。
「いえいえ。気にしないでください!」
桜「んだよ、これッッ!!」
の爽やかな笑顔の隣で 桜は苛立ちを隠せない。
楡井「これもボウフウリンの仕事なんですよ、桜さん!」
「こっちの壁、終わりましたよー!」
「おぉ、早いね。いやー、ありがとう。これ、お礼に持ってって!」
そう言って店主から差し出されたのは、紙袋に包まれたホカホカのたい焼きだった。甘い香りが、作業で疲れた鼻腔をくすぐる。
桜(……つまんねぇ。俺は、喧嘩でてっぺん獲りに来たんだよ)
期待していた熱い戦いとは程遠い現実に 桜は毒づく。だが、隣にいるは、たい焼きを受け取って子供のように目を輝かせていた。
「たい焼き!ありがとうございます!」
「いやぁ。お姉ちゃん、本当に可愛い顔してんね。君もやっぱり、喧嘩は強いのかい?」
「いえ……私は……」
不意の問いかけに、の動きが止まる。その表情に、一瞬だけ翳りが差したのを桜は見逃さなかった。