【WINDBREAKER】風鈴高校の紅一点🎐𓂃𓈒𓂂
第1章 出会い
二人の決着がつきそうになった その刹那。
不意に教室のスピーカーが唸りを上げどこか飄々とした男の声が流れ出した。
「あーあー、あいうえお。いうえおあ、うえおあい。……えーと、どこのスイッチ押せばいいの? えっ? もう入ってんの!? 言ってよー!」
あまりに緊張感のない 放送に一触即発だった空気は拍子抜けしたように霧散した。
「え、らなに、何事!?」
狼狽えるを余所に、教室の空気が一変した。先ほどまで騒いでいた生徒達が水を打ったように静まりかえり、スピーカーに向かって一斉に背筋を伸ばして整列したのだ。
「んじゃま、気を取り直して……」
スピーカーの奥で男が一つ、喉を鳴らしたのが分かった。
「ボウフウリン総代、梅宮 一だ」
その名が告げられた瞬間、教室は目に見えない熱量に支配された。
ここにいる全員が憧れ、忠誠を誓う存在。今の風鈴高校を象徴する、絶対的な「盾」の頂点。は息を呑みどんな峻烈な言葉が飛び出すのかと身構えた。
梅宮「えー。ごめん。言うこと忘れちった!」
あまりの拍子抜けに、生徒達は思わず声を漏らした。威風堂々とした演説を期待していたのに、聞こえてきたのはあまりに親しみやすすぎる言葉だった。
蘇枋「すごい顔してるよ。」
「だ、だって!」
梅宮「あ!そうだ!お前ら!青春しろよ!?」
スピーカーの中の梅宮は、朗らかな声で続ける。
梅宮「たくさん思い出作って有意義に過ごせよ!海とか山とか行くのもいいな。ちなみに俺は海派だ。……あ、今年は珍しく女子が入学したみたいだし、みんなで海行こーぜ!かき氷食おうぜ!」
不意に話題に挙げられ、戸惑いながらも は自分の胸元を指差した。梅宮の言葉は、まるで隣で話しかけてくる兄のように温かい。
梅宮「これだけ人数がいれば、合う合わないがあると思うけど、初日から喧嘩してる奴はいねぇだろうな。」
その言葉に、桜と杉下の肩が同時に跳ねた。杉下至っては、鼻の下を慌てて擦り証拠隠滅を図ろうとしている。
「鼻血は拭けても…」
蘇枋「みんな見てたし」
桜「先に手ェ出してきたのはこいつだろ!?」
梅宮の声は最後に 凛とした響きを帯びた。