【WINDBREAKER】風鈴高校の紅一点🎐𓂃𓈒𓂂
第1章 出会い
「てっぺんを獲る」という宣言。
その一言が、弾丸のように教室の空気を撃ち抜いた。一瞬にして静まりかえる室内。その静寂を切り裂くように、楡井が悲鳴に近い声を上げた。
楡井「ち、ちちち違うんですッッ!! これはですね!!」
必死の形相で、桜の言葉をオブラートに包もうと立ち回る楡井。その慌てぶりに、も困惑を隠せない。
「楡井くん、何をあんなに焦ってるんですか?」
蘇枋「さぁ? どうしてだろう。」
隣では蘇枋が事もなげに微笑んでいる。は依然として、この刺すような緊張感に慣れることができずにいた。蘇枋の背中を盾にするように身を縮める。
蘇枋「まだ、怖い?」
こちらの不安を透かすように蘇枋が耳元で囁く。
「よく……わかりません。でも、落ち着かなくて。」
蘇枋「いいよ。俺の手、握ってても」
蘇枋は背中の後ろでゆったりと手を組んでいた。彼が差し出したその手の上に、がそっと自分の掌を重ねる。すると、彼はそれを確かめるように温かく、そして力強く握り返してくれた。蘇枋のその体温に、張り詰めていた心が少しだけ解けるのを感じた。
――ガシャアアアアアアン!!!
けたたましい破壊音。言い合いをしていた桜と楡井に向けて無骨な鉄製の机が弾丸のごとく飛んできた。机を投げつけたのは、教室の隅にいた長身の男子…杉下京太郎だった。揺れる長い髪の奥から覗く瞳には、隠しきれない凶暴な光が宿っている。
蘇枋「巻き込まれたら大変だ。少し下がろうか。」
「えっ、巻き込まれるって……」
蘇枋に促され、が後退した次の瞬間だった。「潰す」という低く唸るような地声と共に、杉下が獣のような勢いで桜へと襲いかかった。
蘇枋「いいねいいね! バチバチだねぇ!」
「……え、何が?」
蘇枋「桜くん。杉下くんの前で『てっぺんを獲る』は、まずかったよ。」
蘇枋が楽しげに目を細め桜に声をかけた。
蘇枋「杉下くんはね、中学の頃からこの学校に出入りしている唯一の生徒なんだ。実力と情熱を認められて、入学前から『ボウフウリン』を名乗ることを許された特別な存在なんだ。」