【WINDBREAKER】風鈴高校の紅一点🎐𓂃𓈒𓂂
第2章 獅子頭連編
兎耳山「ありがとう……守ってくれて…」
朦朧とする意識の中。天井の照明の白い光が、ぼんやりと滲むように視界に映し出される。耳の奥で、途切れ途切れに聞こえてくるのは、兎耳山さんと十亀さんの優しい声だった。
――痛かったよね。
――辛かったよね。
――ごめんね。
――ごめんなさい。
震える声で何度も謝罪を繰り返す兎耳山さんと、それに対して何も言わず、ただ静かに受け止める十亀さん。すれ違い続け、歪み合っていた二人が、長い時を越え本当の意味で分かり合えたのだ。
その温かなやり取りを耳にしながら、はゆっくりと瞼を開いた。その瞳から、自然と一筋の涙が温かな軌跡を描いて頬を伝っていく。
「――大丈夫?」
すぐ近くで聞こえた声の方へ視線を向けると、そこには心配そうにこちらを覗き込む、佐狐、蘇枋、そして桜君の姿があった。
(……あれ、なんだか温かい。)
床に寝かされているはずなのに、なぜ心地よい温もりが伝わってくる。不思議に思い手を伸ばしてみると「あっ、ごめん。嫌だった?」と、蘇枋が優しい微笑みを浮かべて声をかけてくれた。
「嫌というか……頭の下が柔らかい感触がして……」
蘇枋「うん。俺の膝の上だからね。」
「ひ、膝の上っっ!?」
蘇枋「ステージ上から君を降ろしてくれたのは佐狐さんだけど。そのまま床に寝かせるわけにもいけなくて…。頭が痛くならないように俺の膝を貸しただけだよ。」
佐狐「首…見せて」
「……あ、はい。」
佐狐「結構深い…痕残るかも。」
蘇枋「綺麗に消えてくれればいいけど。出血も多かったし。」
佐狐「巻き込んでしまって…本当に申し訳ない。」
「佐狐君……そんな顔しないで下さい。」
佐狐「けど、その傷…」
首元に添えられた佐狐の指先。心が抉られたような切ない翳りを帯びた表情で、彼は痛々しい傷口をそっと指先でなぞった。
そんな佐狐を見ていると胸が締め付けられ、はそっと自分の片手を伸ばし、彼の頬を包み込むように優しく添えた。
「…大丈夫です。」
そう告げて彼を安心させるように微笑むと、佐狐はの乱れた髪を愛おしそうに何度も優しく撫でた。その手は驚くほどあたたかかった。