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破天荒アラフォーいざ参る!【不死川実弥夢】

第1章 始まり


カナエの葬儀が終わってから、斗和は以前にも増して酒を飲むようになった。

「……忘れられれば、楽なのにな」

カナエの最期と、しのぶの泣き声。そして――カナエに向けられていた実弥の柔らかな眼差しが、頭から離れない。

そんなある夜。

「……おい」

「……実弥?」

振り返ると、実弥が立っていた。

「何してやがる」

「飲んでるだけ」

「最近、そればっかじゃねェか。任務の後も飲んでただろォ」

「……いいじゃん。私の勝手でしょ」

「勝手にしちゃァいるが……お前、なんか変だぞォ」

実弥は眉を寄せる。

「俺と目ぇ合わせねェし、話しかけてもすぐどっか行きやがる。何なんだァ?」

斗和は俯いた。

「……カナエさんのこと」

「……あァ」

「実弥、辛いでしょ」

「……そりゃ、辛ぇだろ」

 その言葉に胸が痛む。

「だから……しばらく、私からは近づかないようにしようと思って」

「……は?」

「カナエさんを失ったばかりだし。私が側にいたら、実弥も落ち着かないでしょ」

「何でそうなる」

「だって……実弥、カナエさんのこと、大切だったでしょう?」

「あァ。大切な仲間だった」

 実弥は拳を握る。

「……だから余計に、胸糞悪ぃ」

「……うん」

「だが、それとお前が離れることに何の関係があんだァ?」

「……え?」

「俺が辛ぇからって、お前まで勝手に距離取る必要ねェだろォ」

 斗和は答えられなかった。

 本当は――実弥がカナエを想っていたのなら、自分が隣にいるべきではないと思ったのだ。

「……ごめん」

「謝ってんじゃねェよ。ただ……」

 実弥は少し黙り、ぶっきらぼうに言った。

「……急にいなくなるみてェな真似すんな」

「……」

「お前まで何かあったら、面倒くせェんだよォ」

不器用な言葉。

けれど、そこに心配が滲んでいるのが分かった。

「……分かった」

「本当だろうなァ?」

「うん」

実弥が去ったあと、斗和は胸元をぎゅっと握る。

(……ずるいよ、実弥)

そんなふうに心配されたら――もっと好きになってしまう。

けれど実弥はまだ知らない。

斗和が自分に向ける、この感情の名前を。

そして斗和もまだ知らなかった。
この想いが、やがて二人の運命を大きく変えることを。
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