第10章 最終決戦!
「……実弥、そんな泣かないでよ……」
斗和が掠れた声で呟いても、実弥は顔を上げなかった。
「うるせェ……誰のせいだと思ってやがる……!」
握り締められた手が微かに震える。
「お前が目ェ覚まさねェ間……何度、もう駄目なんじゃねェかって……」
言葉を詰まらせる実弥に、斗和は胸を締め付けられた。
「……ごめん。本当に、ごめんね」
「謝るなっつってんだろォ……!」
実弥が顔を上げる。その目元は赤く、頬には涙の跡が残っていた。
斗和は彼の手を握り返そうとして、ふと気づいた。
実弥の左手。その指が失われている。
「……え? 実弥、指……」
実弥は視線を逸らした。
「……戦いで失くした。それだけだァ」
「それだけって……!」
斗和の瞳に涙が滲む。自分を庇い、無惨と戦い抜いた彼の手には、もう戻らないものがある。
「……ごめん、実弥……あたしのせいで……」
「違ェ!」
実弥が強く言い切った。
「テメェのせいじゃねェ! 俺が自分で選んで戦ったんだ。お前を守れた。それで十分だァ」
「でも……」
「でもじゃねェ。生きてここにいる。それ以上、何を望めってんだ」
実弥は残った指で、斗和の頬をそっと撫でた。
「……お前まで自分を責めたら、俺はどうすりゃいいんだよ」
斗和はとうとう涙をこぼした。
「……ごめん。……ありがとう、実弥」
「だから謝るなって……」
そう言いながら、実弥も目を潤ませていた。
斗和は失われた指にそっと触れ、彼の手を両手で包み込む。
「……これからは、あたしがアンタを支えるから。今までみたいに、ひとりで無茶させない」
「……上等だァ。だが、俺だってお前を守る」
二人は涙の中で、かすかに笑い合った。
そこへ、しのぶが入ってきた。
「斗和さん、目を覚ましたんですね……! よかったです。でも、まだ絶対安静ですよ」
「はーい……」
「返事が軽いですよ」
いつものやり取りに、実弥が小さく笑う。
そして、斗和の手を握り直して囁いた。
「……おかえり、斗和」
「……ただいま、実弥」
もう二度と、互いの手を離さないように。二人はそっと指を絡めた。