第10章 最終決戦!
無限に続くような、色とりどりの花畑。柔らかな風が吹き、花びらが舞い散る。遠くには透き通った川が、陽の光を受けて輝いていた。
斗和は、ゆっくりと川辺へ歩いていく。
「……綺麗だなぁ」
身体は軽く、痛みも苦しみもない。川の向こうにも美しい花畑が広がっていた。
「……向こうに行けば、楽になれるのかな」
川へ足を踏み出そうとした瞬間、背後から声がした。
「斗和ちゃん」
振り返ると、胡蝶カナエが立っていた。
「カナエ……?」
カナエは優しく微笑み、斗和の手を握る。
「行かないで。斗和ちゃんには、まだ帰る場所があるでしょう?」
「……でも、あたし、もう疲れちゃったよ」
その隣に、煉獄杏寿郎が現れた。
「うむ! よく頑張ったな、斗和! だが、君が渡るにはまだ早い! 君を待っている者がいるだろう!」
「……実弥?」
その瞬間、背後から聞き慣れた声が響いた。
『斗和ッ……! 頼むから……目ぇ覚ましてくれ……! お前がいねェと……俺は……!』
「……実弥……」
斗和の瞳から涙がこぼれる。
カナエが微笑み、煉獄が力強く頷いた。
「ほら。あなたを呼んでいるわ」
「行ってこい! 君の大切な人のもとへ!」
「……うん。ありがとう」
斗和は二人に別れを告げ、声のする方へ走り出した。
***
「斗和ッ!!」
実弥の悲痛な叫びが病室に響く。
その瞬間、斗和の身体がびくりと震え、ゆっくりと瞼が開いた。
「……っ、は……!」
ぼんやりとした視界の先には、涙を浮かべた実弥がいた。
「……さ、ねみ……?」
「……斗和?」
斗和は弱々しく微笑んだ。
「……ただいま、実弥……」
その言葉に、実弥の目から大粒の涙がこぼれ落ちる。
「……っ、馬鹿野郎ォ……! 遅ェんだよ……! どんだけ心配させりゃ気が済むんだァ……!」
実弥は斗和の手を握り締めた。
「……ごめん、ね……」
「謝んじゃねェ……! もう二度と……俺を置いていくんじゃねェぞ……!」
実弥は彼女の手を額に押し当て、声を殺して泣いた。
斗和は弱々しく、その手を握り返す。
――ようやく、帰ってこられた。
大切な人が待つ、この世界へ。