第10章 最終決戦!
斗和が目を覚まさないまま、さらに数日が過ぎた。
実弥は自分の傷が癒えきらない身体を押して、毎日のように斗和の枕元に座っていた。
「……おい、斗和。今日も来てやったぞォ」
握った手は温かい。呼吸も脈もある。それなのに、彼女が目を開ける気配は一向になかった。
「いつまで寝てやがんだ……。俺はもう起きてんぞォ」
返事のない部屋に、実弥の声だけが落ちる。
そんなある日、宇髄が見舞いに訪れた。
「おいおい、派手に寝込んでやがるな。そろそろ起きて、俺に文句の一つでも言ってみろってんだ」
いつもの調子で笑ってみせるが、眠り続ける斗和を見つめる目は真剣だった。
「……不死川。お前も無茶すんなよ。こいつが目を覚ましたとき、隣にいる奴がぶっ倒れてちゃ格好つかねぇだろ」
「……分かってる」
実弥は短く答えた。
その後も、伊黒や蜜璃、無一郎、悲鳴嶼たちが次々と見舞いに訪れた。
「斗和さん……早く元気になってくださいね」
蜜璃は涙を堪えながら、そっと布団を整えた。
伊黒も何も言わず、しばらく彼女の顔を見つめてから部屋を出ていく。
炭治郎、善逸、伊之助、玄弥もやって来た。
「斗和さん! 俺たち、みんな生き残りました! 鬼のいない世界になったんです!」
炭治郎は必死に語りかけた。
「だから……早く起きてください……!」
善逸は鼻をすすり、伊之助は落ち着かなそうに腕を組む。
「おい、酒柱! いつまで寝てんだ! 起きたら俺と勝負しろ!」
玄弥は兄の隣で、俯いたまま拳を握っていた。
けれど、どれだけ声をかけても、斗和は目を覚まさなかった。
見舞いに来た者たちが帰ったあと、実弥は再び彼女の手を握る。
「……みんな待ってんだぞォ。玄弥も、炭治郎たちも……俺もだ」
声が少しだけ震えた。
「……なァ、斗和。もう戦わなくていいんだ。だから……帰ってこいよ」
実弥は彼女の手を頬に寄せ、目を閉じた。
静かな部屋には、斗和の規則正しい呼吸だけが響いていた。