第10章 最終決戦!
蝶屋敷の一室。障子の向こうから、柔らかな朝日が差し込んでいた。
無惨との戦いから三日。柱たちは全員生き残ったものの、重傷者も多く、蝶屋敷は連日慌ただしかった。
そんな中、実弥と斗和だけは、いまだに意識が戻らなかった。
「……ん、」
微かな呻き声とともに、実弥の指先がぴくりと動いた。重たい瞼をゆっくりと開くと、天井がぼんやりと目に映る。
「……ここは……」
「不死川さん!?」
傍らで看病していたアオイが、驚いて身を乗り出した。
「よかった……! 目を覚まされたんですね!」
「……あァ……」
声を出そうとした途端、全身に激痛が走る。実弥は顔を歪めながら、周囲を見回した。
そして、あることに気づく。
「……斗和は?」
アオイの表情が曇った。
「……隣の部屋です。でも、まだ意識が戻っていません」
「……何だとォ?」
「お二人とも、三日間ずっと眠ったままだったんです。実弥さんは出血もひどくて、本当に心配しました……」
実弥は布団を握り締めた。
三日間。自分が眠っている間も、斗和は目を覚ましていない。
「……あいつのところに連れてけ」
「駄目です! まだ動いてはいけません! 全身に重傷を負っているんですよ!」
「んなこたァ分かってんだよ……!」
起き上がろうとして激痛に顔を歪める。それでも実弥は、隣の部屋へ行こうと身体を動かした。
「不死川さん!」
そこへ、様子を見に来たしのぶが現れた。
「目を覚ました途端に無茶をするなんて。少しはご自分の身体を大事にしてください」
「……斗和に会わせろ」
いつもの怒鳴り声ではなかった。
「頼む……あいつが目を覚ますまで、そばにいてェんだ」
しのぶは一瞬だけ目を伏せ、それから静かに頷いた。
「……分かりました。ただし、無理は禁物ですよ」
アオイに支えられながら、実弥はゆっくりと隣の部屋へ向かう。
そこには、包帯に覆われ、静かに眠り続ける斗和の姿があった。
「……斗和」
実弥は彼女の手を握り締めた。
「……いい加減、起きろよォ……」
返事はない。
実弥は俯き、彼女の手を額に押し当てた。
「……一緒に帰るって、約束しただろうが……」