第5章 俺の守りたいもの…②
「……どうして禰豆子の血鬼術が毒に効くって知ってたんですか?」
炭治郎の問いに、斗和は困ったように笑った。
「それは……」
「……?」
「実弥に話すまでは、言えない」
その瞬間、炭治郎の鼻がぴくりと動いた。
「……斗和さん」
「ん?」
「もしかして、不死川さんのこと……好きなんですか?」
「……!」
斗和が固まる。
炭治郎は真っ直ぐ斗和を見つめた。
「匂いが、恋をしている人の匂いです」
「……」
図星。
「……まぁ、そうだけど」
斗和が観念したように呟く。
すると炭治郎は首を傾げた。
「でも……あんな人のどこがいいんですか!?」
「…………は?」
空気が止まった。
「だって不死川さん、すごく怖いし、すぐ怒るし、俺も最初は――」
「炭治郎」
斗和の声が低くなる。
「はい?」
「今、何つった?」
「え?」
「誰が怖いって?」
「不死川さんが……」
「誰がすぐ怒るって?」
「……不死川さんが」
「…………」
斗和のこめかみに青筋が浮かぶ。
「実弥のどこがいいかだァ?」
「え、あの……」
「全部だよォ!!」
突然の大声に、炭治郎が飛び上がる。
「不器用で口が悪くて、すぐ怒鳴るくせに、本当は誰より仲間のこと考えてんだよ! 自分が傷ついても他人を庇うような馬鹿なんだよォ!」
「斗和さん……?」
「それに!」
斗和は顔を真っ赤にする。
「あたしが寂しがってる時は何も言わず隣にいてくれるし……あたしが泣いた時だって……」
そこまで言って、ふと我に返る。
「……って、何言わせてんのさァ!!」
「す、すみません!」
「あと実弥は私のだからね!?」
「は、はい!」
宇髄が横で吹き出す。
「派手に惚気やがったなァ」
「うるさい!!」
斗和の怒声が夜空に響いた。