第5章 俺の守りたいもの…②
「……毒が、かなり回ってる」
炭治郎が自分の腕を押さえる。
宇髄も片腕を失い、顔色が悪い。
伊之助も息を荒くしていた。
そして斗和自身も、指先が痺れ始めている。
「……このままじゃ、まずいね」
斗和は苦しそうに息を吐いた。
だが、ふと顔を上げる。
「炭治郎」
「はい?」
「禰豆子を出して」
「……禰豆子を?」
「うん。禰豆子の血鬼術なら、この毒を焼ける」
炭治郎が目を見開く。
「……どうして、それを?」
一瞬、斗和の表情が固まった。
「……勘」
「勘……?」
「今はそれより、やってみよう!」
斗和は誤魔化すように笑う。
「私たち、時間がないよ」
炭治郎は斗和を見つめる。
明らかに何かを知っている。
だが――今は考えている場合ではない。
「……分かりました!」
炭治郎は箱を開ける。
「禰豆子!」
「……!」
禰豆子が飛び出した。
「禰豆子、みんなの毒を焼いてくれ!」
禰豆子は頷く。
その身体から、赤い炎が燃え上がった。
「……っ!」
炎が炭治郎、伊之助、斗和、宇髄を包み込む。
「熱……くねぇ」
宇髄が驚く。
斗和の身体から、黒ずんだ血がじわりと浮き上がっていく。
「……毒が……消えてる」
伊之助が目を見開く。
炭治郎も驚きながら、自分の腕を見る。
「本当に……毒が抜けてる!」
斗和は小さく息を吐いた。
「……よかった」
炭治郎が斗和を見る。
「斗和さん」
「ん?」
「やっぱり……どうして禰豆子の血鬼術が毒に効くって知ってたんですか?」
「……」
斗和は苦笑した。
「だから、説明はあとって言ったでしょ?」
宇髄が眉を上げる。
「こりゃあ、派手に問い詰める必要がありそうだなァ」
「……お手柔らかに頼むよ」
斗和は苦笑しながら、禰豆子へ視線を向けた。
「ありがとね、禰豆子」
禰豆子は嬉しそうに「ムーッ」と鳴いた。