第5章 俺の守りたいもの…②
戦場を駆ける妓夫太郎の鎌が、炭治郎の肩を掠めた。
「ぐっ……!」
毒が回る。
宇髄も二刀で応戦するが――
「遅ェんだよォ!」
鎌が閃き、宇髄の手首から先が斬り飛ばされた。
「宇髄さん!」
「こんくらい……どうってことねぇ!」
強がる宇髄の顔にも、毒が回っている。
それでも斗和は止まらなかった。
「酒の呼吸――壱ノ型!」
身体を大きく揺らしながら踏み込み、妓夫太郎の鎌を紙一重で躱す。
「チィッ!」
「弐ノ型――酔燕返し!」
予測不能な軌道で刀が翻り、妓夫太郎の身体を斬り裂く。
「テメェ……!」
妓夫太郎の顔が醜く歪む。
「何でテメェみてぇな女が……!」
斗和は口元を拭い、笑った。
「何? 顔が気に入らない?」
「……ッ!」
「悪いねぇ。生まれつきなんだよ」
「その顔がムカつくんだよォォ!!」
妓夫太郎が激昂する。
斗和はさらに笑った。
「じゃあ、もっと見せてあげる」
「酒の呼吸――肆ノ型!」
「酔霞乱舞!!」
霞のように身体を揺らし、懐へ潜り込む。
「その首――もらった!」
一閃。
妓夫太郎の首が大きく斬り裂かれた。
「ぐ……おおおお!」
だが、まだ完全には落ちない。
その時。
「斗和……!」
炭治郎がふらつきながら立ち上がった。
「宇髄さんも……!」
「へっ……まだ動けるぜェ……」
片腕になった宇髄が刀を構える。
「三人でやるぞォ!」
斗和が頷く。
「堕姫の首も同時!」
炭治郎が走る。
宇髄が妓夫太郎へ迫る。
斗和は最後の力を振り絞り、刀を振り抜いた。
「今だァ!!」
――ザンッ!!
三人の刃が同時に走った。
堕姫と妓夫太郎。
二つの首が、同時に宙を舞った。
「……やった……!」
斗和は膝をつく。
だが、その直後。
「……っ、毒が……」
身体がぐらりと傾いた。
戦いは、まだ終わっていなかった。