第5章 俺の守りたいもの…②
深夜。
誰もいない部屋で、斗和は一人、窓の外を見つめていた。
――もう、時間がない。
堕姫の視線は日に日に鋭くなっている。
このままここにいれば、いずれ正体を暴かれる。
「……だったら、こっちから動くしかないか」
斗和は静かに立ち上がった。
「足抜けする」
そう決めた瞬間――
「チュウ!」
「……来たか」
障子の隙間から、ムキムキねずみたちが次々と入り込んでくる。
その姿を見て、斗和は思わず笑った。
「相変わらず凄い筋肉だねぇ……」
ねずみたちは得意げに胸を張る。
そして背負っていた包みを床へ置いた。
中から出てきたのは――
鬼殺隊の隊服。
そして愛用の刀。
さらに、その上に丁寧に畳まれていた一枚の羽織。
「……これ」
斗和の手が止まる。
見慣れた柄。
実弥とお揃いの羽織だった。
「……持ってきてくれたんだ」
そっと羽織を撫でる。
胸の奥が、ほんの少しだけ熱くなった。
「実弥……」
今頃、何してるだろう。
寂しがってたりして。
……いや。
「絶対、怒ってるだろうなぁ」
苦笑する。
だが、その笑みはすぐに消えた。
廊下の向こうから、足音。
斗和は一瞬で表情を引き締めた。
「……来た」
堕姫だ。
斗和は急いで隊服と刀を包み直す。
「今夜、抜ける」
ムキムキねずみたちが頷く。
「それまで、絶対に見つかるなよ」
最後に羽織を抱き締める。
「……実弥との約束だからね」
その頃。
廊下の向こうでは――
「……斗和」
堕姫が、斗和の部屋の前で足を止めていた。
「何をしているのかしら?」
斗和は息を殺す。
ついに――
正体が暴かれる瞬間が、すぐそこまで迫っていた。