第5章 俺の守りたいもの…②
「……あいつが帰って来たら、絶対ぇ離さねェ」
実弥が呟くと、背後からまた声が飛んできた。
「私なら、そんな寂しい思いなんてさせません!」
「……」
「鋼鐵塚さんなんかより、私のほうが――」
「いい加減にしろォ」
実弥が振り返る。
女性隊士はびくりと震えた。
「何度言わせりゃ分かるんだァ。俺はテメェに興味がねェ」
「……っ」
「好きでもねェ。付き合いたくもねェ。これから気持ちが変わることもねェ」
一言一言、突き放す。
「私……本当に不死川さんのことが好きなのに……!」
「知るかァ」
「そんな……!」
「テメェが俺を好きだろうが、何回告白しようが、俺の答えは変わらねェ」
女性隊士の目から涙が溢れる。
「じゃあ……どうしてあんな人なんですか!? あんな酒飲みで、偉そうで、年上で――」
「それ以上、斗和を悪く言うなァ」
実弥の声が低く響く。
「俺が選んだ女だ」
「……!」
「テメェと比べることすら失礼なくらい、俺にとっちゃ大事なんだよォ」
「でも私は――!」
「うるせェ」
実弥は冷たく言い切った。
「もう二度と告白してくんな」
女性隊士が息を呑む。
「俺の前で斗和を侮辱すんのもやめろ。次は本気で怒鳴るぞォ」
それだけ告げると、実弥は背を向けた。
「……俺が待ってんのは、一人だけだァ」
遠く、遊郭の方角へ視線を向ける。
「斗和が帰って来るまで、他の女なんざ見てる暇はねェよォ」